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ワタミが自給引き上げは最低賃金見直しに伴う対応 未だ厳しい経営状況から抜け出せるか?

ワタミが自給の引き上げを発表したというニュースを見て「お!」と思いました。いよいよブラック企業の汚名を返上しようとしているのでしょうか?

 

www.j-cast.com

 

実情は最低賃金引上げに伴う賃上げ

2016年10月1日に全国で最低賃金が見直されたことに合わせて行ったとのことで、「当然と言えば当然か」と言う印象です。パート・アルバイトの時給引き上げは10~25円で引き上げ率は平均で1.31%。決して大きいとは言えない数値です。

引き上げ額の中間値17.5円で1日8時間働いて140円。全国のパート・アルバイトが約1万人とのことなので、会社としては1日140万円の負担増になります。法定労働時間の週40時間を1年続けるとすれば約2000時間働くことになり、仮にパート・アルバイト1万人全員が2000時間働くとすれば、3億5000万の負担増となります。さすがにパート・アルバイトの全員がマックスで働かないでしょうから、3分の2だとしても2億3000万。ワタミの2016年3月期の営業損失は2億9000万円*1と言うことを考慮すれば、企業としては大きな負担増だと言えます。

 

働く側から見れば微々たる賃金増ですが、経営状況が良くないことを考慮すれば、かなり思い切った賃上げだと感じます。

また一方では、賃金以外の面でもブラック企業を払しょくするための動きもあるようです。以下の引用文にあるように、従業員の教育にマニュアルのモバイル化を導入するなどして店長の負担を軽減するなど、働きやすい職場づくりを意識しているのは良いことだと思います。

 

同社は15年から「初期教育」に力を入れ、専属スタッフを配置して教育に当たったり、マニュアルをモバイル化したりして、かつてのイメージ払拭に躍起になっている。「これまでの店長の教育では、細部にまで目が行き届かないところがありました。そこを改善しました」と、店長クラスの仕事の負担を軽減しながら取り組んでいるという。

原文まま

 

他の企業の賃上げと比較

では他の企業ではどうでしょうか?

ワタミと同じくまだまだブラックの印象が残る「すき家」のゼンショーでは、約10万人のパート・アルバイトの時給を2016年4月から平均2%アップさせています。最低賃金見直しよりも前の対応であり、規模も大きいですね。ゼンショーの2016年3月期の営業利益が131億円ですので、この英断も頷けます。

ちなみに公式ページ*2によれば、東京都新宿区の店舗での時給は1120~1400円(※深夜1400円)。高校生時給は1020円と言うのは気になりますが、1120~1400円であれば、東京都の平均時給(1042円*3)を上回っており、評価できる額だと言えるでしょう。

ちなみにワタミでは、西新宿で1100円~(22時以降1375円~)*4ですので、すき家よりやや少ないですが、頑張っているとは思います。

 

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経営改善がカギ

すき家ゼンショーは2015年の営業損失が111億円だったので、まさにV字回復と言えます。その要因は「ワンオペ」で問題になった深夜営業の復活です。時給を上げて人材を確保し、2人以上体制を構築しての深夜営業の再開。人件費は上昇したとのことですが、それ以上の売り上げにより吸収できたそうです。積極的に問題点を改善したことで業績が向上し、その分、従業員の賃金を上げることができたのです。この経営姿勢を今後も続けて、外食産業のブラック改善をけん引して頂きたいですね。

一方、ワタミの賃上げは最低賃金の見直しに伴うものであり、どちらかと言えば消極的な賃上げです。まだまだブラック企業のイメージが根強く苦しい経営なのは理解できますが、経営不振の原因である「ブラック企業イメージ」を大胆に払拭するような積極的な経営改善が必要なのかも知れません。

 

 

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