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仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

東京労働局が電通に強制調査! 今こそ「働き方改革」を進める時だ

10月14日に東京労働局と三田労働基準監督署が、東京都港区の電通本社に対して強制調査「臨検」を行いました。

昨年12月25日に自殺した高橋まつりさんの件については、多くの報道がなされてています。先月、三田労働基準監督署が高橋さんの自殺について「過労が原因の労災」と認定しています。

亡くなられた高橋さんには心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族等関係者の方々に御見舞いを申し上げます。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

電通の法令違反が明るみになるか?悪質なら刑事処分も

電通では1991年に入社2年目の男性社員が過労により自殺してしまっています。労働局は、電通社内でこの時の反省が生かされていないと判断し、強制調査「臨検」に踏み切ったとのことです。

労働基準法では、労働基準監督官は臨検して企業に対して帳簿と書類の提出を求め、使用者や労働者を尋問できると規定されています。

 

労働局では、電通の労使協定では認めていない月70時間超の時間外労働など、具体的な法令違反を確認して是正勧告を行う方針です。

つまり電通では労働組合と「月70時間までの時間外労働を認める」と36協定を締結していたのでしょう。企業が労働組合と36協定を締結すれば、協定書を労働基準監督署に届けています。労働局にとっては、この協定書が大きな武器になります。電通自らが「月あたりの時間外労働の上限」を届け出た書類であり、それを超えれば法令違反になるのですから。

あとは月あたり70時間を超えて働かせた具体的な証拠が見つかれば、是正勧告を行うことができます。抜き打ちで強制調査を行うことで、会社側は証拠隠滅する時間もなく、従業員の勤務記録等が押収されたことでしょう。

例えば36協定で定める時間(電通の場合は70時間)を超える残業をしていた社員が多数だったり、大幅に超える(100~150時間以上など)社員がいる場合等は「悪質」と見なされ、刑事処分がなされるかも知れません。労働局(労働基準監督署含む)は逮捕権もありますから、あまりにもヒドイ状況が発覚すれば、電通の社長らが逮捕される可能性もあります。

 

月70時間以内の虚偽申告を強制?

上記の記事では非常に気になることが書いてあります。

 

代理人弁護士によると、電通は社員らに月70時間を超える時間外労働を「勤務状況報告表」に記載しないよう指導していたという。高橋さんは指導に従い、昨年10月を「69.9時間」、同11月を「69.5時間」に減らして記載していた。労働局はこの点についても法令違反の有無を検討する。

原文まま

 

これが事実であれば、非常に悪質です。長時間労働を強いて健康を損なわせた挙句、実労働分の賃金も支払っていないことになります。またそれを本人に「強制」するなど、立派な人権侵害です。

人生には限りがあります。限りある人生の一部を奪っておきながら、最低限の補償である「残業代」すらケチるとは、人を尊重しない非常に悪質なものです。

 

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36協定について

ちなみに電通がここまでこだわる「70時間」とは何なのでしょうか?

勘違いして頂きたくないのは、時間外労働は「月70時間が限度」と言うのは、全ての労働者に当てはまるものではありません。これは「電通が36協定で届け出ている時間」ですので、他の会社では60時間だったり80時間だったりします。

そして注意が必要なのは、「36協定を締結しているからと言って、無限に残業させて良い」と言うことにはなりません。限度があります。1ヶ月で45時間、1年で360時間が限度です。

あれ?おかしいですよね。では電通では何故「月70時間」なのでしょうか?その理由として、以下の2点が考えられます。

 

①特別条項を明示している

36協定で認められる時間外労働は1ヶ月で45時間と言いましたが、「特別条項」を付け加えることで、それ以上の時間外労働が可能になります。特別条項に「理由と上限時間」を記述すれば認められるので、電通の36協定書には、例えば「業務多忙等の特別な事情のある時は、月70時間まで」と言う記載がなされている可能性が考えられます。

 

②所定外労働時間も含めている可能性

一般人にとって労働時間をややこしくしているのが、この「所定労働時間」ではなかろうかと思います。法律によって定められている労働時間は「1日8時間」であり、これが「法定労働時間」です。この法定労働時間を「限度」にして、各企業はそれ以内の労働時間を設定できます。

ですから、会社によっては「1日7時間労働」と定めている場合があり、これを「所定労働時間」と言います。1日7時間が所定労働時間の会社であれば、本来は1日1時間までの残業なら、36協定が無くても違反にはなりません(※残業代は支払わなければならない)。この1時間の残業は「法定内残業時間」であり「所定外労働時間」です。

しかし36協定書を届け出るにあたり、法定外残業時間のみを明記するとややこしくなるので、所定外労働時間も含めて上限時間を届けている会社もあります。私が勤務する会社はこのパターンです。所定労働時間が1日7時間なので、法廷内時間外労働の週5時間を36協定内の限度時間(月45時間、1年360時間)に加えた時間を限度にしています。

もしかしたら電通も特別条項なしで、月45時間に所定外労働時間25時間を加えた70時間を限度にしている可能性があります。しかし単純に25時間を20日(週休2日制)で割ると1時間15分なので、所定労働時間が1日6時間45分と半端な印象ですが・・。昼休み以外の休憩時間を1日15分と設定しているのでしょうか?

 

おわりに

今回の電通の件については、様々な議論がなされています。「単純に残業時間だけを問題にするな」と言う意見もあり、それもある側面で見れば正しいとは思います。

確かに人間は単純に「1ヶ月80時間以上の残業」をすれば、時限爆弾のように病気になる訳ではありません。またうつ病は様々な要因で発症する病気であり、単純に月の残業時間が100時間を超えたから発症するものでもありません。

ただ1つ言える事は、「病気になる条件が人によって多様であり、それぞれ耐性が異なる」からこそ目安としての「時間設定」が必要なのではないでしょうか?

個別の要因分析は、医者や弁護士などの専門家が行うものであり、我々一般人はそれを冷静に受け止め、その真偽について議論するのが正しい姿勢かと思います。

しかし我々一般人がいちいち個別の要因に基づいて判断するのは手間もかかるし危険です(素人なので)。ですので、誰もが客観的に目安に出来る「上限時間」は必要なのです。

今回の電通の件でもそうですが、「残業105時間で自殺した」と言うと、「自分が若い頃はそんなの当たり前だった。甘い。」と言う人間が出てきます。特に若い頃にバリバリ働いて、それが評価されて出世した人間の中に、その手の輩が多いのではないでしょうか?だから日本の労働環境がなかなか変わらないのだろうと思います。

しかし人間の身体には個人差があり、またその時に背景にある環境も異なっており、その人の性格や考え方によっても違います。

その様な「人間の多様性」を受け入れられない精神構造が背景にある限り、この愚かな日本を変えることはできないのかも知れません。人間の多様性を受け入れられない心は、そのまま差別に直結します。日本はそろそろ、「人権を軽んじる国」と外国から認識され始めているようでし、非常にマズイ傾向です。

このままでは日本は滅びます。

高橋さんの尊い命の犠牲を無駄にしないためにも、この事件を契機に、日本人の働き方を変えなければなりません。

 

 

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