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活断層の新しい判別方法が大阪大の研究チームによって開発される!

日本は地震が非常に多い国だと言うことは、誰もが認めるところかと思います。何せ、「太平洋プレート」、「ユーラシアプレート」、「北アメリカプレート」、「フィリピン海プレート」の4つのプレートの境界部に位置すると言う、世界的にも珍しい国です。太平洋プレートとフィリピン海プレートは「海洋プレート」と呼ばれ、「大陸プレート(ユーラシアプレート、北アメリカプレート)」よりも重いため、その下に潜り込みます。

日本列島はユーラシアプレートと北アメリカプレートの上に載っており、その下を潜り込む太平洋プレートとフィリピン海プレートから、絶えずギュウギュウと押されている状態です。その圧力に耐えられずに地下の岩石が破断した時に地震が発生します。岩石が破断してズレた面を「断層」と呼び、ひとたび断層が形成されれば、その断層は何度も地震を発生させます。

日本の場合、どの断層が活動したかによって、地震は以下の2種類に大別されます。

 

 

海溝型地震はプレート境界断層の場所は分かっており、ある程度の対策は事前に施されています(※それでも東日本大震災は大変なことになりましたが)

一方、活断層の場合は「場所を特定するのが非常に難しい」と言うことが非常に厄介な問題なのです。活断層は主に「直線状の地形」をヒントに調査され、新しい地層が断層に沿ってズレているかどうかで判定されます。

しかし新しい地層は、軟らかい砂や泥でできているため、昔の地震で一度ズレたとしても、川の流れで削られてしまったり、人間活動によって乱されたりします。そのため「明らかな証拠」が残っていることは珍しく、活断層の正体を詳しく明らかにするのは非常に難しいのです。

 

その様な中、画期的な判別方法が開発されたと言うニュースが発表されました。

 

www.nikkei.com

 

記事によれば、大阪大の広野哲朗准教授(地震断層学)らのチームが過去に活動した断層帯の岩石を分析した結果、断層がない地層には見られない「微粒子」が発見されたとのことです。この微粒子は数10ナノメートル*1の「非晶質微粒子」であり、断層活動によって形成される特徴的な粒子であると結論付けられたそうです。しかもこの微粒子が水に溶けて消失するまでの時間が約1000年以内であると、計算によって導き出されたため、活断層と疑われる地層でこの微粒子が発見されれば、「1000年以内に活動した証拠」と見なされます。

 

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実用化のためには、まだまだ多くの検証が必要とは思いますが、これは非常に画期的です。以前、熊本地震の際にとある大学の先生が「活断層の研究者が少ない」と嘆いていましたが、この手法は人数の少なさをカバーする有用な手法になりそうです。

系統的に整理されマニュアル化されれば、民間の調査・分析会社でも実施できるようになるでしょう。国や自治体が発注する公共事業によって、あらゆる場所で調査が行われ、防災対策に活用されることを期待します。

 

 

 

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