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仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

「福井県の教員の自殺が10年で9人」から、長時間労働問題を考えてみる

福井県教育委員会が10月6日に、公立小中学校と県立学校の教員のうち昨年度までの10年間で9人が自殺していたことを明らかにしました。

 

www.fukuishimbun.co.jp

 

自殺の原因について

この件について、福井県教育委員会では以下のように言っています。

 

原因について「いろいろな要因が重なっていると思われ、把握は難しい」

原文まま

 

確かに人によって悩み事の原因は違いますし、一概に仕事が原因とは言えません。しかし「勤務時間」との因果関係については調べて頂きたいですね。

最近の電通社員の過労自殺に対しても様々な議論があり、以下の池田信夫氏のように「長時間労働と自殺の因果関係を考えるべき」と言う意見があります。

 

 

この意見は私も正しいと思います。自殺したからと言って、月100時間以上の残業が原因だったとは限りません。人によって耐性は違いますし、プライベートの悩みなど、何か他にも要因があった可能性も否定できません。しかし一方では、この様な論調が独り歩きするのも危険なのです。

人によっては「原因は必ずしも労働時間ではない。だから労働時間を気にしなくても良い」となりかねません。何を隠そう、私の上司がこの様な考え方の持ち主なんです。

  • 原因は必ずしも長時間労働ではない→それは正解
  • だから時間管理しない→それは間違い!!

トンデモナイ論理の飛躍だと思いませんか?自分が時間管理したくないから、それを正当化するための屁理屈なんですが、そういう連中はそこら中にいる危険性があります。

確かに直接的な悩みがプライベートだとしても、「長時間労働が心身を疲弊させたこと」が背後にあると考えるのが妥当なのです。例えば夫婦間の不仲が直接的な自殺の原因だったとします。しかし長時間労働のない健康な精神状態であれば、無事に乗り越えられた可能性があります。長時間労働によって疲弊した精神だからこそ、乗り越えられずに自殺してしまうかも知れません。

これは例えば、同じ肺炎でも「体力のある若者では命に関わらなくても、体力の衰えた高齢者であれば命を落とす可能性が高い」のと同じ事です。

池田信夫氏の発言は正しいですが、一方で、労働時間と精神疾患および自殺との因果関係に関する議論を疎かにしてはいけません

 

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福井県の教員の自殺数は多いのか少ないのか?

また自殺数については、以下のように言っています。

 

10年間で自殺者9人という状況について「教員の自殺者数に関する全国統計はなく、本県が多いか少ないかはコメントできない」とした。

原文まま

 

10年間で9人と言うと、自分の周囲を例に考えれば「多いかな?」と言う印象を受けます。ただし、以下の記事を読むとそうとも言えないことが分かります。

 

tmaita77.blogspot.jp

 

この記事は2007~2010年の警察庁発表のデータをもとにしたものです。

これを読めば上記引用文の「教員の自殺者数に関する全国統計はなく・・」は無知と言わざるを得ません。

それはさておき、10年で9人は多いのか?と言うと、2010年の全国の教員の自殺者数は146人だそうで、47都道府県で単純に割り算しても1都道府県の年平均は3.1人になります。したがいまして、福井県の教員の自殺者数は「全国と比べて多いとも言えない」が実際ではないでしょうか?(※ただし2010年データに基づく見解)

 

まとめ

以上をまとめます。

  • 自殺の原因は多様だが、労働時間との因果関係は検討すべき
  • 福井県の教員の自殺者数が10年間で9人は決して多いとも言えない数値

私は今回の福井県教育委員会の姿勢を評価したいと思います。と言いますのも、記事によれば、とある男性教員の自殺は長時間労働が原因と認定されたようで、長時間労働対策を検討することになったそうです。是非とも、実効性のある改革を期待します!

やはり将来を担う子供たちを教育する先生たちが過労で疲弊してしまったら、健全な教育など行われるわけがありません。

長時間労働を美徳とする日本の悪しき習慣は、一刻も早く見直す必要を感じます。

 

 

よろしければ、こちらもお読みください。

 

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