SHIINBLOG

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西之島 噴火&拡大後の初の上陸へ向けて出航!

2013年から始まった西之島の噴火活動が小康化したと判断したのか、東京大学地震研究所などの調査チームが10月16日に西之島に向けて出航しました。

 

www3.nhk.or.jp

 

西之島の火山活動を振り返る

西之島はもともとは、海底から数えれば高さ4000mに達する海底火山の頂上がわずかに海上に顔を出している小さな島でした。その面積は約0.07km2。記録が残る範囲内で人がその存在を認識して以降、火山活動は確認されていなかったそうですが、1973年に初めて(人間が確認したもので)噴火しました。同年4月12日に海水の変色が確認され、海底における火山活動が認識されたようです*1その後の同年9月14日に黒色の「噴石丘」が確認され、その直径120m、高さ40m。

さらに2013年から再び活発な火山活動が始まり、もとの島よりも約12倍程度も大きくなりました。

下の写真は海上保安庁のHPで公開されている写真です。無数のシワシワが見えますが、これは溶岩が流れてつくられた地形だと思われます。

近年の噴火の前に実施された調査結果によると、西之島の溶岩は「安山岩質」のようです*2観光地で一般的に見られるものの中では、浅間火山の「鬼押し出し溶岩」と同様な成分の岩石です。

 

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西之島:2016年8月18日撮影(海上保安庁海洋情報部)

 

 

伊豆小笠原諸島の一員である西之島

西之島は「伊豆小笠原諸島」に属する島で、地図で見ると下図右側に赤い△で示されているのが伊豆小笠原諸島です。図中の「小笠原諸島」の「小」の字のちょうど右側に西之島が位置しています。伊豆小笠原諸島は、このように綺麗に北北西-南南東方向に一直線に並んでいます。

一直線に並んでいると言えば、下図左側、沖縄を含めた南西諸島も直線状に並んでいます。また下図にはありませんが、北方四島を含めた千島列島も、カムチャツカ半島まで直線状に連なっています。

なぜ、こんなに綺麗に並んでいるのでしょうか?

 

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 ※海域火山マップ(海上保安庁海洋情報部)

 

 

並んでいる島々は「島弧」と呼ばれている

伊豆小笠原諸島は、別名を「伊豆・小笠原・マリアナ島弧」と呼ばれています。つまりサイパンやグアムも含めたマリアナ諸島まで連なっているのです。

この様な「島弧」はプレートとプレートの境界に形成されており、主に火山島で成り立っています。「伊豆・小笠原・マリアナ島弧」は「フィリピン海プレート」と「太平洋プレート」の境界部に相当し、フィリピン海プレートに太平洋プレートが沈み込むことで形成された「火山フロント」に相当します。

地球上で火山が形成される場所は、実は条件が限られていて、その1つが「火山フロント」です。日本列島の本州の関東から東北にかけての火山、特に奥羽山脈の火山はユーラシアプレートに太平洋プレートが沈み込んで形成されている「火山フロント」です。

 

なお西之島の溶岩は「安山岩質」とお話ししましたが、伊豆小笠原諸島の他の島は主に「玄武岩質」であり、なぜ西之島だけ違うのか?は詳しくは分かっていないようです。

今回の調査はその様な謎の解明も含めて実施されるのでしょうね。

 

ちなみに今回紹介した「プレート境界の島弧」や「火山フロント」の詳細については、別途に記事を書いてみたいと思います。

 

 

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