SHIINBLOG

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仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

「仕事ができない人も必要」という話について思う3つのこと

以前「仕事ができない社員でも会社に必要だ」みたいなことを書いている記事を読みました。何か違うんだよな~と感じたので、思うところを書いてみたいと思います。

残念ながら、元記事のURLを記録しておりませんでした・・・orz

と言うことで記憶をたどりながら書いていきます。

 

「仕事ができない人も必要」の内容

とある会社に勤めているAさんは中堅クラスの社員です。とても真面目で誠実なのですが、仕事に関してはピリッとしません。たびたび、失敗をしてしまいます。

そしてとうとう、管理職はしびれを切らし、Aさんを解雇してしまいます。Aさんも真面目なので、上司に言われるまま、素直に辞めてしまいます。

ところが・・・、しばらくすると他の若手社員が1人、また1人と辞めていくではありませんか!

びっくりした管理職は、辞めたいと言ってきた若手に理由を聞いてみます。

すると、実はAさんはプライベートの時間で後輩社員の相談を良く聞いていて、「俺だってダメだけど、何とか頑張ってここまでやれている。だから君も頑張ろう。」と励ましていたのだそうだ。そんな心の支えであるAさんが辞めたことにより、若手社員もやる気を失ったのだそう。

以上の事から、「仕事のできない社員でも何かの役には立っている。だから解雇してはいけません」と結論づけているのが、この記事でした。

一見、良いことを書いているような記事ですが、私にとっては違和感アリアリなものでした。考えれば考えるほど、根本的に間違っていると思うことが少なくとも3つあります。

 

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Aさんは仕事ができない人なのか?

この記事ではAさんは「仕事ができない人」と言うレッテルを張られていましたが、本当にそうなのでしょうかね?

Aさんは決して「仕事ができない人」ではなかったのではないか?と私は思うのです。いや、正確に言うと「仕事が出来る社員に生まれ変わる素質を持っている」と思います。

だってAさんは、後輩との話を聞いて分かる通り「自分がダメなことを自覚」していました。これって重要だと思います。

私もこれまで多くの人と出会いましたが「自分をダメだと思っていない人」は、まず成長しません。

スポーツ選手の例が分かりやすいと思います。

あの松井秀喜さんだって、バットのスイング時に頭がぶれるクセを強制するために、長嶋監督とともに必死に練習して克服し、大打者に成長したのです。

人間が成長するためには、まず自分の未熟さを自覚する事

Aさんは少なくとも、その入り口には立っていたのです。決して、単なる「慰め屋」で終わる存在ではなかったハズなのです。

 

そもそもAさんは役に立っていない

冷たい言い方で申し訳ありません。こんな私の言葉に対し、いやいや、若手社員が会社を辞めるのを防いでいたじゃない?と思う人もいるかも知れません。

でもAさんは「互いに傷を舐めあう」ような行動をとっただけであり、後輩の成長を促すような指導をした訳ではありません。だから結局は、Aさんが辞めたことにより、後輩も連鎖的に辞めることになりました。

そう考えれば、結局は、会社の役には立っていませんよね?

「俺だってダメだけど、何とか頑張ってここまでやれている。だから君も頑張ろう。」

この言葉は一見、良いようでいて、会社と言う組織を考えたら良くない言葉です。結局は精神論で、仕事ができない後輩の根本的な改善には至っていないからです。

人として考えた場合、例えば家族や友達同士で話すのであれば、その様な言葉で慰めたり、激励したりするのは良い事だと思います。

しかし会社は営利団体です。株主のため、顧客のため、社員のため、社会のために価値を創造して利益を生み出し、法人税を納税するまでが会社の義務です。友達同士の付き合いをするための組織ではありません。

もちろん、慰め合う事を全否定する訳ではありませんが、その前に「失敗の何が原因だったのか?その原因を克服するためにはどうすれば良いか?」について後輩を指導するのが、会社の先輩としての務めでしょう。

そのような行動をとってこそ、Aさんは本当の意味で役に立ったと言えます。しかし結局Aさんは、単なる「慣れ合いグループ」をつくったに過ぎません。

その結果として「Aさんが辞めれば後輩も辞めてしまう」と言う弱い組織にしてしまったのです。

会社にとって、仕事で役に立つ社員こそ、必要な社員なのです。

「仕事はできなけど他で役に立っている」という言い方は、Aさんに対してもとても失礼な言い方だと思うのです。

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一番悪いのは管理職

Aさんは真面目で誠実で後輩からも慕われている人望の厚い人物でした。そしてさらに自分のダメさも自覚しており、成長するチャンスを秘めている社員でした。

そのような彼を適切に指導できなかった管理職こそ、この話の諸悪の根源です。この記事の最大の盲点とも言って良いでしょう。組織を生かすも殺すも、管理職の力量にかかっています。

例えば・・・私の部下(若手社員)は真面目で頭も良いのですが、チョコチョコ失敗してしまいます。部下のことは良く観察していますので、失敗の原因は分かります。ここでは具体的な記述は避けますが、彼がこれまで生きた中で形成された「クセ」みたいなものがあり、それが原因で失敗してしまうのです。

ですので、まず私は彼に仕事の指示を出すときに、その「クセ」を考慮した指示の仕方を心がけています。またその「クセ」については、時々ですが、彼本人に優しく言い聞かせ、注意を促しています。あまりに頻繁に言うと落ち込む可能性もあるので、タイミングを見て注意しています。さらに、このことについては彼の教育係とも考えを共有し「長い目で見守ろう」と話しています。

「クセ」と言っても大した事ではないのです。誰でも大なり小なりあることで、例えば「相手の冗談を本気と受け取ってしまう」とか「物事の表面上のことに気を取られて勘違いしやすい」とか「話を少し聞いただけで分かった気になってしまう」とか。

こういったクセは、日常生活では御茶目な個性ですが、仕事をするときには重大なミスにつながる恐れがありますよね?

勘違いでお客さんの注文数量を1ケタでも間違った日にゃ、大変なことになります。

クセって、本人ではなかなか気づけないですよね。学生の特は問題なくても、社会人になると気を付けた方が良いクセもあります。

Aさんは恐らく、私の部下と似たようなたぐいのクセを持っていたのではないか?と思うのです。誰かが気づいて適切に指導してあげれば、十分改善可能ではなかったのか?と残念に思います。

 

終わりに・・・

今回紹介したお話は、かなり以前に読んだもので「こういう考え方の人がいる限り、日本の働き方は良くならないのではないか?」と感じていました。

ですので、最近はネットの記事を読むにしても、ついつい「論理的で的確そうだな」ものを選んで読んでいました。

しかし今回のように、「人情に訴えていて一見、正しそうに見える精神論」的なものを逆説的に考察することで、より問題点を浮き彫りにできるものなんだなと再発見できました。

最後になってしまいましたが、私は「仕事をできる・できない」という言葉で、人間をひとくくりにしてしまうのは、実は好きではありません。

人間は人それぞれ違った個性、人生観があり、仕事に対する考え方も異なります。

最低限、貰った給料分の責任を誠実に果たす姿勢さえ見られれば、私はそれで良いと思います。それ以上については、仕事仲間同士で互いに研鑽し合えば良いではありませんか。

「あいつは仕事ができない」と切り捨てるのではなく、何故できないのかを周囲が考え、本人と一緒に改善へ向けて努力する方が、よっぽど建設的だと思います。

 

 

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