SHIINBLOG

仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

「制服に着替える時間も仕事のうち!」と言える2つの理由

制服に着替える時間も「仕事」なのでは?

何故こんなことを考えたかと言いますと、先日引用した「ブラックバイトに関する井戸氏のコメントを紹介した記事」の最後のくだりを読んでの事でした。

 

news.livedoor.com

 

 

着替える時間も時給が欲しいと言う若者

また、井戸氏は今と昔の学生アルバイトの違いについて明かした。「僕らの時代はユニフォーム に着替えて『これから働けるぞ』っていう状態で始めて、タイムカードを押してよかった」「今は『着替えの時間も時給くれ』っていうアルバイトさんが増えて いる」と話し、世代によって感覚にズレが生じていることも明かしていた。

原文まま

確かに、私も学生の時にスーパーのレジでバイトしてた時には、シフトの10分前には出勤してロッカールームで着替えてからタイムカードを押していました。それが普通だと思っていましたし、何の疑問も感じていませんでした。

ですので、最近の若者は着替える時間にも「給料欲しい」と言うのか!と驚きはしましたが、私の場合はそこで「最近の若者はけしからん」とは思いませんでした。どちらかと言うと

ざ、斬新だ・・・!って思ったんですよね(笑)

そして色々と考えを巡らせてみると、案外、着替える行為も「労働と見なせる」のではないか?と思えてきたのです。

「んなバカな?」と思うかも知れませんが、以下で「着替える時間も労働と見なせる理由」について書いていきます。

 

通勤時間が「労働」と認めらる場合がある

ここで一旦話を変えますが、これは後述の考察をより分かりやすくするためです。

ところで皆さんは、「通勤時間は労働とはみなされない」ことは周知の事実だろうと思います。(※通勤途中の事故は労災になりますが)

また出張時の移動時間も通勤時間と見なされるため、労働とは認められません(※個人的には納得できませんが)。

でも条件次第では通勤時間が「労働」と見なされる場合があることを御存じでしょうか?それは「仕事で使用する会社の資材類を運搬している場合」です。だから会社のノート パソコンを持って新幹線で移動しているサラリーマンは「労働」していることになるし、カメラ等の機材類をアタッシュケースに入れて移動する報道記者も、その移動中は「労働時間」と見なすことが可能です。

「そんな馬鹿な?」と思う人に、もう少し分かりやすい事例をあげます。

それは「運送業のドライバー」です。彼らは会社が顧客から預かった荷物を運搬するために車を運転しています。これは「労働」であり、決して「車通勤」とはみなされません。

「そんなの当たり前じゃん」と思うでしょう。

では、「取引先への荷物を郵送する際、帰宅のついでに運送業者へ持ち込んだ」はどうなるでしょうか?おそらく、それを「労働時間だ!」と主張する人は少ないと思います。

では運送業者へ持ち込むのに、真っすぐ帰宅するより遠回りになるので、通常より30分帰宅が遅くなる」となればどうでしょう?だんだんグレーゾーンになってきたと思いませんか?これが30分ではなく、1時間とか2時間にもなれば、さすがに「仕事だ」と思う人が多くなると思います。

では何十分からが仕事なの?ってなりますが、個人の感覚でマチマチですよね。だから時間で考えるのではなく「会社の資材を使って会社の利益になる行為 」を行った際は、例え移動だけだったとしても「労働」だと考えて良さそうです。

実際に、「会社の命令で会社の資材を帯同して移動する行為」は裁判で「労働と見なす」と言う判例が出ています。

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制服に着替える時間も労働と見なせる理由

さて、上記のように「会社の資材を使って会社の利益になる行為」を行えば労働と見なせるなら、制服に着替える時間も労働だと考えても良さそうです。順を追って考えていきましょう。

理由1:会社から指定されているかどうか

「会社(上司)の命令で」が1つのキーワードですから、あくまで会社から指定された制服を着るのが第一条件になりそうです。ですからサラリーマンがスーツに着替える時間は労働にはあたらないでしょう。

思いつく限りでは、スーパーやコンビニ、飲食店などでは従業員はみな制服を着ています。会社がデザインして作成した制服を貸与し、従業員に着用を義務付けています。

理由2:会社の利益につながっているか

確かに制服を着る行為そのものは利益に直接結び付きませんが、間接的には結び付きそうです。以下に考えられるものをピックアップしてみます。

①衛生管理

飲食店であれば特に、来ている服は「衛生管理上」重要になります。会社(店)としては、従業員の衛生管理のためにも、自社で一括でクリーニングした制服の着用を義務付ける方が、経営上も安心ですし、客へ好印象を与えられます。

これは会社の利益につながると言えそうです。

②客に認識してもらう

店員に用があっても、みんな私服では誰が誰だか分かりません。制服を着用することにより、客は注文する時に声をかけやすくなります。これも会社側にとってメリットですよね。

③会社(店)のイメージアップに寄与する

会社(店)のイメージを形成することは重要です。コンビニなんて、パッと見で「セブンイレブン」、「ローソン」と分かります。制服は看板のようなものであり、その会社のコンセプトに基づいてデザインされていると思います。まさに会社のイメージアップ戦略の1つと考えられるでしょう。

 

以上を考えてみますと、制服に着替える行為は会社(店)に間接的に利益をもたらすと言えます。さらにもっと考えてみると、会社は制服のデザインと生産にお金をかけてる訳ですよね?それだけ、制服に価値を見出しているのです。なのに何故、「従業員が制服に着替える時間」にはお金を使わないのでしょうか?

そのように考えても、「制服に着替える時間は労働時間」だと見なせると考えられます。

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まとめ

以上のように論理的に考えてみると、制服に着替える行為は、会社の利益目的の指示の下で、会社が指定する制服に着替えるのであれば、「労働」だと見なせそうです。

「着替える時間も時給が欲しい」と言った若者の方が、実は「労働の本質」を理解していたのかも知れません。

若者が言うことに対して「自分が若かった頃は」と、自分の経験にのみ基づいて考えてしまうと、思考は硬直化してしまいます。

どうも日本人は「今まではそうだったから」と言う思考パターンが多いように思えてなりません。しかし、これまでの常識にばかり囚われていると、社会は進歩しません。

世の大人たちが、「自分が若い頃はこうだった。それに引き換え、今の若者は・・。」などと言ってしまったら、それこそこれまでの常識を踏襲するだけの、ツマラナイ世の中になるだけです。

そして案外と、これまでの常識に囚われない若者の方が、より真実に近い着眼点を持っているかも知れません。若者の意見に耳を傾けることで、より良い日本をつくっていきたいものです。

 

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