「有給取得:未婚より家族持ちを優先に」と言う意見に喝! 労働者同士の足の引っ張り合いはブラックを産みます!
こんな記事が出ていたので私の意見を書いていきたいと思います。
残業や休日出勤しない同僚を批判
一般の方の投稿に対して、弁護士が回答すると言う方式の記事です。
投稿内容の概要は「社内の独身女性が残業を嫌がったり、他の人が有給を取得する日程でも平気で有給をとろうとする。本来なら子供や恋人誕生日の人がいたら進んで残業を引き受ける立場なのに。」と言うもの。
この独身女性は普段から残業を嫌がったりして、それが他の社員に押し付けられるかたちになり、社内では「自分勝手」と見られているのでしょうね。
しかし以下のような事を言ってしまうと、自分勝手はどっちなのだろうか?と言う気持ちになって来ます。
「残業や休日出勤しようとしないお局様。 みんなあなたと違って家族や恋人がいるんですよ。 お盆は里帰りや旅行があるんですよ」
原文まま
つまり、敢えて口悪く変換すればこういうことでしょう。
あなたは独身で恋人もいないのだから、どうせ休んだって暇でしょ?それに引き換え、私たち家族持ちや恋人持ちは、プライベートのイベントが大切なの。あなたと違って忙しいんだから、残業や休日出勤を引き受けて当然よ!
※ジオジオの独断と偏見で変換
仕事とプライベートは別です。残業や休日出勤に個人の都合は関係ありません。
その思想、法的にもアウトです
やはり、我々労働者はしっかりと「労働基準法」を知らなくてはいけないなと、つくづく思います。
労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはいけません。それ以上は残業扱いとなり、割増賃金が発生します。また割増賃金を支払うからと言って、無限に残業をして良いことでもありません。残業時間も上限が設定されています。
残業をするかしないかは、労使間(会社と社員)でのやり取りで決める事ですので、同僚同士の「押し付け合い」は本来はあり得ません。
有給取得にしたって同じ事。あくまで労働者側が会社に要求して休むものであって、「あの人が休むから私は休めない」と言うのは本人の勝手な判断であり、「2人同時に休んでも大丈夫か?」を考えるのは会社・管理職の務めです。
ちなみに有給休暇については、会社側が「業務に支障をきたす」と判断すれば「時季変更権」を発動して、別の日に休暇を設定し直すことが可能です。逆に言うと、会社に出来ることはそこまで。有給休暇取得を突っぱねたり、休暇の理由を聞く権限はありません。
労働者は以上のようなルールを熟知し、あくまで「会社と交渉」しなければなりません。労働者同士は対会社で考えれば「同じ立場」であり、休日出勤や残業の「なすり合い」をするのは醜い足の引っ張り合いだと思います。
責めるべきは会社や管理職の指導力不足の方
確かに、残業や休日出勤を拒否する同僚の存在により、そのシワ寄せがいつも自分にまわるようでは「なぜ自分ばっかり?」と不満に思うのは分かります。ただ、その不満をその同僚に直接向けたのでは、何の解決にもなりません。
本当に問題なのは、同僚のその様な態度を許している会社や管理職の方です。残業や休日出勤が特定個人に集中しないように、適切に仕事を配分するのが管理職の務めだからです。またそもそも、会社・管理職は「残業や休日出勤を発生させないように努力」しなければなりません。
「残業や休日出勤したくない、有給休暇を自由に取得したい」のであれば、同僚を責める前に、同僚と協力して会社に要求するのがスジです。本来は団結して一緒に協力して会社と交渉すべき社員同士が足を引っ張り合ってどうするのでしょうか?これではまるで、江戸時代の「村八分」のようです。
ブラック労働が発生するメカニズム
現在の日本でブラック労働が横行している原因の1つとして
・自分がこんなに残業しているのに、何故あいつは早く帰るのか?
・同僚に有給取得されると仕事がまわらなくなり、迷惑だ
と言ったような「社員同士の足の引っ張り合い思想」が考えられます。このような思想が背後にあるので、みんな「早く帰りづらい」「休みづらい」と言う雰囲気が出来上がってしまいます。
それもそれで問題なのですが、その様な思想になる遠因は「管理職の采配不足」にあると私は考えています。つまり、その組織に必要な仕事量やその期日等を適切に指示しておらず、また長期的なビジョンを示さないので、社員は「目の前の仕事を闇雲にこなす」ことで頭がいっぱいになるのです。
そして管理職自らも日々忙しそうにして残業し、有給も取得しない状況が続けば、部下にとって「気の抜きどころ」が分かりません。そうなると、その組織は「残業当たり前、休めないのは当たり前」となってしまいます。
その様な組織の中で、1人でも「残業しないで帰る、有給を取得する」と言う社員がいると、他の社員が一斉に攻撃を始めてしまうのです。
その様な組織の雰囲気は、長い目で見れば管理職にとっても会社にとっても良くありません。
やはり管理職は、部下に仕事の全体像を明確にし、ゴールまでの道筋を示す必要があります。そうすることで、「今日は早く帰っても、明日頑張れば大丈夫だな」とか、「来週の彼女の誕生日は休みたいから、その分今週は頑張ろう」と言った風なメリハリをつけられるようになります。
組織内で個人個人がそのようなメリハリを付けられれば「先週は自分が休んで皆にカバーして貰ったので、今週はBさんが休めるようにカバーしよう」と言うような助け合う風土が自然に出来上がるのではないか?と思います。
まとめ
組織において大切なのは、まずは「全体の仕事量の把握とゴールまでの道筋」を示すことです。「その仕事が終わったのなら、次はこれ」と言ったような刹那的な指示は、管理職は楽かもしれませんが、部下にとっては「いつになったら楽になるのか?」と先の見えない毎日に苦しむようになります。当然、有給取得なんて考えられなくなります。
その様な組織では自然と「社員同士の足の引っ張り合い」が生まれます。
社員がみな残業し、有給休暇を取得しなければ、会社は得かもしれませんが、それは短期的な視点でしかありません。長期的には社員の心は荒み、協力し合うことをせず、組織は弱体化します。
それよりも、例えば管理職が率先して「交代で休めるようにみんなで協力しよう」と呼びかければ、真に助け合う強い組織になるのではないかと思います。
労働者側も労働者同士でいがみ合うのではなく、適切な采配をふるわない会社や管理職の責任を追及することで、自分の権利を守る努力をするべきです。
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