グリニッジ天文台「天文写真コンテスト2016」候補作品 グッと来た写真3選
今回で8回目になると言う、グリニッジ天文台主催の「天文写真コンテスト」
その候補作品がハフィントン・ポストで紹介されました(↓以下リンク)
ここでは14作品が紹介されていますが、その中でも私が特に感動した作品を、この場で紹介させて頂きます。その他の作品については、是非、上記リンクからご覧ください。
岩の間に
海岸で撮影されたと思われる作品。
画面の両側に突き出る岩の間を貫くように、縦方向に流れ落ちるように見える天の川(だと思います)。
非常に幻想的で素晴らしい作品だと思います。
さらに素晴らしいのが、岩の間から海岸に流れ込む霧。綺麗ですよね。
星の写真を撮影する場合は
①露出を絞ってシャッタースピードを遅くする。
②露出を開放して短いシャッタースピードで撮影する。
と言う2つの方法がありますが、この写真は②です。
しかし、星だけを撮るなら、そこまで難しくないと思いますが(私もやったことあります)、この写真は周囲の風景も綺麗に採れていますので、おそらく、露出の度合いとシャッタースピードの組み合わせを微妙に変えて、何回も撮影したのではないか?と思います。
星の写真は、他の星に比べて桁違いに明るい「月」の位置にも左右されますので、その関係でも見えない苦労が多いと思います。
氷の巨人
悠然とそびえるギザギザの岩山の背後に、まるで橋を架けるかのように、弧状に浮かび上がる星々。
これも一瞬、天の川かと思いましたが、天の川とは銀河系(円盤状)の断面なので、弧状には見えないハズ。
おそらくですが、撮影当時の空は薄いモヤがかかっていて、かつ山の背後には月があり、その月の光に照らされた薄いモヤ(雲)が、あたかも天の川のように写っているのでは?と思います。
そう考えてみると、確かに地面に近い方がうっすら明るく見えませんか?
撮影状況などの細かい説明がないので、こうやってアレコレと考察するのも、また一興ですね。
金星と月の下を通る国際宇宙ステーション
これはまさに「計算し尽くして撮影された写真」です。実に素晴らしい!
弧を描いているのが国際宇宙ステーション。
その弧の頂点付近右側の大きな光が月、その左下の小さい光が金星です。
金星は地球よりも内側を回っている惑星なので、夕方か明け方にしか見えません(宵の明星、明けの明星を言われる所以です)。
ただでさえ、金星が見える時間が限られている中、月と隣接する時期を選ぶ必要があるのに、さらに国際宇宙ステーションの軌道も考えられている訳です。スゴイですね。
そして露出とシャッタースピードの加減も計算され尽くしていると思います。
何せ「月は非常に明るい」のです。
金星は月の次に明るい星とは言え、比べれば歴然とした差がありますよね?
そして国際宇宙ステーションは、かなり暗い部類に入ります。写真では弧状の「軌跡」として映っているので、シャッタースピードを遅くしています。少なくとも地平線上に現れ、月と金星の下を通り、再び地平線の下に隠れるまでの時間は撮影しています。
と言うことは、画面全体が白くならないように、露出も絞っているハズ。
「月の光が画面を白くすることなく、また国際宇宙ステーションの軌跡も映る」と言う絶妙のバランスも計算されています。
まさに天文学を知り尽くしているエキスパートの作品と言えるでしょう。
おわりに
いかがでしたか?
単純にパッと見でも綺麗で感動する作品ですが、その背景についてチョコッと考えてみるのも、また面白いかと思います。
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