サービス残業は企業にとっての麻薬だ! 撲滅対策の前に考えること
みなさんはサービス残業をやっていますか?
私は度々このブログで話しておりますが、サービス残業は絶対になくした方が良いです。(※もちろん残業そのものも無い方が良い)
その理由として、個人の時間を大切にすることは勿論ですが、日本の労働生産性を向上させる事にも繋がることが挙げられます。その様な理由からも、サービス残業はゼロにするのが得策なのです。
サービス残業とは、企業にとって、言わば麻薬のようなものです。
お金さえ払ってしまえば、安易に「安心や快楽」を得られる麻薬ですが、一度使えば止められなくなり、徐々に身体は蝕まれ、やがて破滅します。
サービス残業は「社員の時間と労働力を奪う」ことにより、企業にとって安易に利益が得られます。もちろん、一度やったら病みつきになり、止められません。
しかし長い目で見れば、会社全体としての業務効率化や社員個人の創意工夫への「動機づけ」を阻み、社員の体力とモチベーションを奪い、徐々に企業の生産力を低下させます。
そして最終的には、新たなイノベーションを生み出す土壌が企業から完全に失われ、滅びゆく事になります。
そして、こんな記事を見つけました。
この記事にもとづいて、サービス残業がいかに社会に悪影響をもたらすかを書いていきたいと思います。
サービス残業を撲滅して残業代を払う事になった会社の結末
この記事の内容を要約すると、以下のようになります。
サービス残業を恒常的に繰り返している会社があり、社員がそれを指摘したところ、経営者はそれを認め、「給与カットか、リストラをして良いなら、残業代を支払える」と回答した。
コスト削減はやりつくし、新しい採用も抑制した。売上が急に上る見込みもない。残るは人件費のカットだけだったからだ。
そして社員はリストラを選択し、会社「希望退職者の募集」を行うこととなる。
すると、まず募集に応じて辞めたのはエース人材と一部の若手たちだった。
ただし、本当に人件費が高いのは中高年だった。そして会社は「肩たたき」を行い「働かない中高年」は晴れていなくなった。
しかし残された中堅社員と若手だけでは、人手不足によるサービスの質の低下を防げず、エースが抜けた穴も埋められない。慌てて新規事業に手を出しても、エース不在では立ち上げるものも立ち上がらない。若手や中堅は給与は低いのだが、スキルも低く、クオリティの高い仕事ができない。それを埋めるように労働時間でカバーをするようにすると、今度は残業代が高騰する。
結局3年持たず、その会社は消滅した。
どうでしょうか?
ここまで読んで「やっぱりサービス残業しないと会社は潰れるのかな?」と思ってしまった、そこのアナタ!残念ながらアウトです。
倒産の原因はサービス残業撲滅ではない 何がこの会社を潰したか?
この記事を読んで思うに「サービス残業が恒常化した」。その時点で 、この会社の運命は決していたと思います。
サービス残業をなくすために「あらゆる方策は実施した」と言い、残るは「人件費の削減」と経営者は言いましたが、まだフロンティアはあったのです。
それは「中高年の処遇」です。
結局、中高年のリストラによって、この会社は一時的に機能するようになりますね。
ですが、それが問題なのですよ。
給料が高いわりに、会社の利益に寄与していない中高年層が多いから、この会社は「若者にサービス残業をさせなければ利益の出せない体質」だったのです。
本当は、ここが一番の問題でした。
だからリストラしようと言うことになるのですが、日本の企業とは実に面白い事に、ここで突然、何故か「平等主義」になってしまうんですね。本当、愚かしいです。
本音では「役に立たない給料の高い中高年」を切りたいのです。
なのに平等に「希望退職者の募集」をしてしまうんですね。
この時に「役に立たない給料の高い中高年」だけが辞めてくれるって、本気で思っているとしたら、かなりオメデタイです。
でも実際のところは、その時に会社にしがみつくのは「役に立たない給料の高い中高年」であり、エースは辞めます。
何故かって?
だってエースは、もともと「不満だらけ」なのです。自分が一生懸命に頑張って得た利益が自分には十分に還元されず、「役に立たない給料の高い中高年」に回っていると言うことをとっくの昔から理解しており、常に不満を持っていましたから。
つまりもともと、この会社は「エースに厳しく」、「役に立たない給料の高い中高年」に甘い、不公平な会社だったのです。
それに対し「誰でも今辞めれば割高な退職金を払うよ」と言う、エースにとって「初めての平等な制度」が出されれば、飛びつくに決まっています(笑)
特にこの「役に立たない給料の高い中高年」、大人しければまだ良いものの、こう言う人々に限って、エースに対して偉そうな事を言います。
でもエースにしてみると、その人の言うことが間違いだと知っているので、結局は自分のやり方で仕事をして、結果として利益を得ます。
エースにとって
「自分よりも『たまたま』年齢がが上と言うだけで、役職も上で偉そうにするくせに、能力が著しく劣っている。そのくせ口うるさく、自分の仕事に口出しして邪魔をする」
これほどの邪魔者はいません。
しかも、役職が上なので、彼の決定には従わざるを得ない場合が大半です。どんなに「愚策」だと分かっていても。指摘しても却下されますしね。
そんなこんなで、とっくにエースはやる気(会社に対して)を失っているため「希望退職者の募集」に飛びつくのです。
ここまで書けば、もうお分かり頂けたでしょうか?
この会社を潰した原因は、サービス残業を撲滅したことではありません。
エースのやる気を失わせた「役に立たない給料の高い中高年」を放置した事にあります。
これは、その中年達を「クビニしろ」と言っている訳ではありません。
能力に関係なく「年功序列」で役職を上げたり、給料を上げたりするのが良くないってことです。
「働かないオジサン問題」はおじさんの責任なのか?
常々思います。
日本の労働問題を考えていくと、結局「給料の高い中高年」に行きつきます。
この「給料の高い」は絶対的な数値ではなく、どちらかと言うと「生み出す利益な少ないのに」と言う問題が付きまといます。
結局やっぱり、年功序列が悪なのですよ。
組織はピラミッド形式なのに、年齢とともに職位を上げ、部下がいないのに適当な役職をつくり、結果として「何をやったら良いか分からない役職」に付けたことで、利益を生み出す仕事ができなくなってしまう。
そして、その「何をやったら良いか分からない役職」の部長の給料は、エース級の中堅社員が稼ぐと言った図式になります。
もう1つ良くないのが、この「年功序列」のせいで、本来は「管理職としての適性が無い」人間まで管理職になることでその部下達が機能しなくなってしまうのが、非常に深刻な問題かと思います。
優秀なエース級ほど「愚かな上司」がネックになり、辞めることを考えるようになります。
ここで考えて欲しいのですが、良く「愚かな上司は上手く操れば良い」と言うビジネス本を見ます。
でもですね「操れる上司」は、まだ良い方なのですよ。真に愚かな上司は「部下に何を言われようが我が道を行く」ので、操れないんです^^;
それでやる気を失っているのが、何を隠そう、私ですからね(笑)
まとめ
つまり、サービス残業問題とは、会社全体のマネジメントの問題なのですね。
その根幹には、やはり年功序列が大きな原因かと痛感します。
私も、そうです。
自分より「年齢が上」「入社年度が上」なだけで、役職は上。でも、やることなすこと、ダメな上司。こちらとしては、かなり気を遣ってヤンワリと進言しますが、それで聞き入れてくれる上司は「グッド!」。
でも下手にチンケなプライドがある上司は、聞き入れてくれないんですよね。結果、何も改善されないまま。でも本人は、現状がベストだと思っている。
これでは、やる気がなくなる一方です。
自分をエースだと言う気はないですが、私は既に「辞める気満々」ですね(笑)
やっぱり、年功序列は百害あって一利なしです。
後輩に追い抜かれても努力せずに不貞腐れるだけの人間に気を遣う必要はありません。そのまま辞めちまえば良いのです。
企業はエースに離れられないためにも、サービス残業ナシで利益を生み出せる組織を構築する努力が必要ですし、その様な工夫こそが「真の経営」です。
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