ハローワークの「ブラック企業の求人お断り」はどこまで効果があるのか?
ハローワークが「ブラック企業の求人を受理しない制度を創設する方針を固めた」と言うニュースが発表されてから1年以上が経過しますが、特に何かが変わった気配はありません。実際には法律を改正しなければならないため、すぐにどうこう出来るものでもないのでしょう。現在は政府主導で働き方改革が検討されている最中ですので、今後の動向が注目されます。
では、実際のところ「ブラック企業に求人を出させない」が実行された場合、どの程度効果があるのでしょうか?過去の記事をヒントに考察していきたいと思います。
ブラック企業の定義は必要か?
まず「ブラック企業の定義」が必要なのではないか?と訴えている記事がありました。定義が曖昧だと感情論に陥りやすく、ハローワーク側が気に入らない会社を排除することにもなりかねないのではないか?と指摘する意見もあります。
また例えばユニクロはかつては確かにブラック認定をされたけど、その後は努力して改善に向かっている。そのような企業を再評価するためにもブラック企業の定義は必要だという意見も見られます。
確かに、日本中のほとんどの企業が労働基準法を守っていないだろうと言う現状を考慮すれば、ブラックか否かの線引きをどうするかで、エントリーできる企業の数が左右されそうです。
私は単純に「労働基準法を遵守しているかどうか?」の判断で良いと思ったのですが、そうなると私が勤める会社は「グレーゾーン」になってしまいますね。
残業代は付けた分だけ支給されますし、休日の取り扱いも法律を守っています。36協定も毎年組合と協議して締結していますし。しかし結果的に36協定違反の超過勤務者は年に数名~数10名は出ており、振休失効者も年に数名出ています。
何故かと言うと、会社としては法律を守る気持ちで経営しているのですが、その意識が末端の管理職に浸透していないのが大きな原因です。会社としても沢山の業務量をこなさないと黒字にできない体質であるのに加え、全社的に「残業・休日出勤当たり前」という風潮がまかり通っています。
私の所属部署なんかは仕事量が少なく赤字なのに、みんな定時以降2~3時間会社にいるのは、まさに管理職が「残業当たり前」と言う人間だからです。それによって仕事の効率化も進まないので、いつまで経っても黒字体質にならない。みんなヒーヒー言いながら仕事して、やっと少しの黒字を出して、年1ヶ月のボーナスがかろうじて出る会社です。
こう考えると、表向きは法律を守っていても、管理職の「思想」がブラックだと、十分ブラック企業と認定して良いのではないかと考えられます。
ただ、そうなると認定方法はどうなるの?となりますね。定義を決めたとしても、自己申告では意味がありませんし、会社としては法を守る意識があっても、配属先の上司がブラック思想では防ぎようがありません。
「ブラック企業の求人お断り」だけでは甘い?
一方で「ブラック企業の求人を受け付けないだけでは甘い」と言う記事もありましす。
そもそも以前からハローワークに出ている求人に「虚偽」が多いとのこと。実際に働いてみたら条件が違っていたが、労働者側も生活がかかっているのでやむを得ず働き続けると言う状況が多々あるそうです。
世間でブラックと言われている企業は氷山の一角で、認定されていない企業の中で、多くのブラックが潜んでいる可能性もあります。
やはり「ホワイト企業じゃないと経営が成り立たない」と言う風に、根本的なところでブラック企業対策を施さなければ、真の改革にはならないのだと思います。
とは言え、まずは「歯止め」を!
ハローワークで求人を出させないだけでは、根本的な解決にならないのは事実です。
とは言っても、ブラック企業が安易に労働者を採用できるままでは、いつまでも改善は望めません。
まずは明らかに法を逸脱したと考えられる企業はブラック認定し、求人を受け付けず、企業側に是正を促すのが得策と思います。
その一方で、労働基準監督署の強化や労働者への啓蒙活動を実施することで、ブラック企業による被害を低減させる努力が必要だと考えます。
また経済原理で言えば人件費のコストが低いブラック企業の方が競争力があります。したがってホワイト企業を支援することで、ブラック企業に対する競争力を維持させることも重要です。支援すると言っても補助金等ではなく、例えば国や自治体が「表彰」することで一般市民への好感度を上げるだけでも、商品やサービスの販売力の上昇につながるのではないでしょうか?
とにかく、ブラックは損をして、ホワイトが得をする日本に変えなければなりません。
まとめ
ハローワークがブラック企業の求人を断ることで、根本的な解決にはならずとも、ある程度の歯止めにはなりそうです。そして一方では別の施策を推進していかなければ、ブラック労働がなくなることはないでしょう。
まずは政府の「働き方改革」を注意深く見ていく必要があります。
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