世の中は確実に変わっている! ~過労自殺に対しての4年前の記事より~
電通社員の過労自殺に関しては、まだまだ様々な議論がなされています。
私もこの件に関連してまだまだ書きたいこともありますし、関連しそうな記事を片っ端からブックマークしていました。その整理をしていたら、以下の記事が目につきました。
中身を見てみると、なんと2012年の記事。しかも取り上げている過労自殺は2008年のもの。どこでどのような経緯で、私がこの記事をブックマークしていたか記憶がありませんが、よくよく中身を読んでみてビックリしました。
過労自殺の原因について
もと記事は2012年3月18日に産経新聞にて報じられたようです。残念ながら既に削除されていました。
2008年に過労自殺してしまったのは27歳の男性。入社の際の経緯もひどいもので、もともと正社員として採用されるハズで入社したものの、実際の処遇は契約社員扱いだったそうです。今ならそれだけでも、会社側はかなり叩かれそうなものです。
そして彼が自殺した直前1ヶ月の時間外労働が100時間を超えており、日報に「倒れそうです」と書いていたとのこと。ちなみに彼が勤務していた会社は「自動販売機に清涼飲料水を補充する」業務が主なものだったらしいので、外回りの肉体労働が主体だった可能性があります。外回りの範囲がどの程度かは分かりませんが、仮に会社から距離のある場所の担当を任されていたとすれば、移動のために早朝に出勤したり、帰社時間が遅いと言うこともあるでしょう。また運転時間を勤務時間としてカウントしない会社であれば、実際の労働時間はもっと多かったかも知れません。(※社有車の運転は本来は労働時間と見なされるはずですが、「グレーゾーン」扱いで労働時間としてカウントしない会社もあります)
当時の世の中の反応は・・・
記事では詳細は分かりませんが、さぞかし過酷な労働だっただろうと、非常に気の毒に思います。現在であれば、私だけでなく多くの方々が同様に感じるだろうと思います。
しかし記事が掲載された2012年当初は、そうでもなかったようです。ネット掲示板に寄せられたコメントは以下の通りです。
- 「俺は土日も祝日も仕事だぞ」
- 「残業が月100時間で自殺するのはさすがに甘えだろ。もはやヤラセなのかと疑うレベル」
- 「会社は金を稼ぐ場であって、社員の生活を保障する場ではない。27歳だったら、会社を辞める選択肢もあっただろう」
まるでどこかの大学教授のようなセリフですよね。今とは大違いで非常にビックリしましす。またこの記事で上記のコメントに相対するコメントとして記述しているのが以下引用です。
「景気のいい時でも自殺や過労死はある以上、自分の身は自分で守らなければならない」「全ては自己責任だから、過酷な労働環境の企業に自分から入社する前に、勇気を出して地元の小さな企業のドアを叩いてみてほしい」とブラック企業がはびこる現状への“打開”を呼びかける意見も見られた。
原文まま
おそらく「優しい意見」として取り上げたのでしょうが、言っていることはかなり厳しいです。残業時間が月に100時間を超えて過労が溜まれば、正常な判断ができなくなり、とても「自己責任で転職しろ」なんて言えません。
今でも上記のようなことを言う人間はいますが、一方で某大学教授の発言がかなりの非難を浴びた現状を考慮すると、だいぶ世の人々の認識が変わってきているように感じます。
たった4年前でこの違い
もちろん、「俺はもっと働いてる」とか「残業100時間なんて普通だろう」とかいう人達は、まだまだいます。しかし仮にこの過労自殺事件が今起こり、そのニュースに対する掲示板のコメントがネット記事で紹介される時は、上記のようなコメントを非難するコメントもセットで報じられますよね。
しかしそのようなものもなく、また自殺した男性に対する厳しい意見を淡々と紹介している雰囲気からも、当時のブラック労働に対する世間の認識が現在とは大きく違っているように感じます。
2012年と言えば4年前で震災の1年後。私の感覚では、そんなに世の中は変わっていないように感じていたのですが・・・。記事の日付は2012年ですが自殺は2008年なので、おおもとの記事は2008年なのでしょうかね?しかし8年前にしても、既に名ばかり管理職問題が騒がれていましたし、私の実感では世の中そんなに変わっていないように感じます。
それとも私自身が以前から組合活動を通して労働問題に興味があったから感覚が鈍っているだけで、一般的には労働問題に対する世間の意識が年々高まっているのでしょうか?
もっともっと変えていこう!
少なくとも、今回紹介した記事からは「今とだいぶ違う」と感じます。
それもこれも、多くの方々がブラック労働是正のために様々な活動をされてきた結果なのだと思います。また4~8年前と比較すれば、ツイッター等のSNSがさらに普及したため、より多くの人達が自らの意見を発信するようになったのも大きいのかも知れません。
まだまだ日本は「ブラック労働」が幅を利かせています。電通のような大企業から過労自殺者が出てしまう世の中です。
以前より変わってきたとは言え、まだ足りません。
もっともっと、この日本を変えていくためにも、私も微力ながら、このブログを通して日本の労働問題の改善について訴えていきたいと思います。
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