働かないオジサン再生計画!!
労働問題の話題では、たびたび「働かないオジサン問題」が取り上げられます。
シャープの社長に就任した戴氏が「あまり仕事をしないで、遊んで給料をもらっている人は修理しないといけない」と発言したそうです*1。
そんな中、以下の記事が目に留まりました。
働かないオジサン問題とは
企業では40代後半から50代の「働かないオジサン」がいます。もちろん、全く働いていない訳ではないでしょうが、給料が高い割には会社の役に立っていないと思われるオジサンが一定数いるのです。特に大企業になれば、その人数は多くのなるのではないでしょうか?
日本の企業や労働問題を論じる時、しばしば「やり玉」にあげられるのが「働かないオジサン」です。若者が必死に働いて得た利益を搾取する存在として、いつも悪者扱いです。
でも彼らは自ら進んで「働かないオジサン」になったのでしょうか?
私は決してそうは思いません。彼らが生まれてしまうのには理由があるのです。
これからの日本は少子高齢化により労働力が不足すると懸念されています。政府は「女性の登用」をメインに据えて考えているようですが、私は「働かないオジサン」にもう1度活躍してもらい、定年前の花道を飾ってもらうのも、1つの方策だと思います。
まずは「働かないオジサン」が生まれるメカニズムを検証し、打開策について提案していきたいと思います。
働かないオジサンは、なぜ生まれるのか?
その理由はズバリ!「年功序列システム」です。
一時期、長く続く経済の低迷の打開策として「成果主義」が各企業で導入されましたが、失敗と判断され、また年功序列に回帰する動きがあるようです。記事によっては「年功序列こそ日本企業に合っているのだ」と言っていたりします。
私はどちらかと言うと、成果主義そのものよりも、年功序列を捨てきれずに中途半端な成果主義を導入したから失敗したのではないか?と考えています。
年功序列システムの弊害を話したらキリが無いのでここでは割愛するとして、では年功序列がどうして「働かないオジサン」を生むのか?を考えていきます。
①不要な役職をつくるから
組織と言うものは、国であれ企業であれ、その形態は「ピラミッド型」になります。ですので、役職が上になればなるほど、ポストの数は少なくなります。例えば同期が20人いたとして、そろそろ部長に昇格か?と言う年齢になっても部長のポストは10しかなかったりします。
じゃあどうするの?
国や自治体では「天下り団体」をつくってしまいました。財団法人とかの類の組織をつくり、そこの役職を任せます。
民間企業ではどうかと言うと、大企業では子会社の役職を任されたりしますが、それはまだ良い方です。
それでもポストが足りない場合は、新しく「〇〇部」をつくり、そこの部長にします。しかしもともと「ポストをつくるため」の部なのでさしたる目的もなく、部下もいません。つまり年功序列だから、ある年齢に達したら課長や部長にする。そして上に行くほどポストが少なくなるので、無理やりポストをつくる。無理につくったポストなので仕事がなく、結果として働かないオジサンが誕生してしまうのです。
②管理する方法が分からないから(もしくは管理する概念がない)
私の周囲では、このタイプが圧倒的に多いです。無理につくったポストではなく、「もともと必要なポスト」に着任したのにもかかわらず、何をしたら良いかわからずに「働かないオジサン化」してしまう人がいます。
確かに管理職になったからと言って、具体的な管理方法を教えられない場合が多いので、分からないのは頷けます。私も管理職になった春に研修を受けましたが、具体的な管理手法に関する講義はいっさいありませんでした。私の場合はもともと自分で「青写真」は思い描いていたので良いですが、これでは先輩管理職が管理職としてイマイチなのは、ある意味しょうがないのかな?とも思えてきます。
ちなみに「プレイヤーとして振る舞う」ことによって「働かないオジサン」と呼ばれるリスクを回避している人が多いですが、本来はマネジメントする役割なのですから本末転倒ですよね。
働かないオジサンの再生計画
年功序列により、仕事がないポストにつけられてしまったり、管理職としての適性がなくて「働かないオジサン化」してしまった人々。彼らはある意味、年功序列システムの被害者だと言えます。
その様なオジサン達に再び活躍してもらうにはどうするか?以下のように考えてみました。
①年功序列を緩和する
年功序列システムは、残念ながらまだまだ残ると思います。何故なら日本のほとんどの企業の上層部は年功序列が大好きだからです。しかし近年では緩和される傾向にはあり、表向きの役職は「次長」だとしても、社内では後輩社員のマネジメントのもとで仕事をしているケースも出てきているようです。
たとえマネジメント能力に乏しくとも、プレイヤーとしての経験は十分ですから、頼りになる存在です。今後はこのように、年功序列を緩和して、後輩管理職の指示で働くかたちで、オジサンに活躍してもらいましょう。
②後輩管理職は「頼りになる存在」 としてリスペクトすること
いくら実質的には部下のような存在だからと言って、上から目線で指示を出してはいけません。オジサンのプレイヤーとしての経験や知識は豊富です。それをリスペクトして「頼りになる存在」と言う気持ちで接すれば、オジサンも喜んで協力してくれます。
③オジサンも後輩管理職をリスペクトすること
これも大切なことです。オジサンにとって後輩だとしても、管理職になる程の経験はしているのですから、オジサンより秀でている部分も多々あります。そういう部分を見つけ、お互いにリスペクトして協力関係を築きましょう。
④オジサンは初心に戻り、新しいものを受け入れよう
久しぶりにプレイヤーに戻る訳ですから、新しい仕事に対しては初心者かと思います。でもそれを嫌がってはいけません。頭を柔らかくして、恥ずかしいなどと言う気持ちは捨て、どんどん若手社員に教えて貰いましょう。そして今の若者の「仕事観」も理解するように努力してください。間違っても「俺の若い頃は・・。」なんて言ってはいけません。世間は常に変化しているのです。これを機に変化を受け入れれば、定年後のセカンドライフも明るいものになるハズです。
⑤若手社員のサポート役を頼む
特に、まだ独り立ちできない若手社員のサポートをお願いすると良いでしょう。例えオジサンにとって初めての仕事でも、若手社員に初めての仕事を任せるよりも「何とかしてくれる度」は高いです。何故ならオジサンたちは、例えそれを経験してないとしても、「自分がこれまで経験した何か」から類似点を見出すからです。そして「失敗しそうなポイント」を事前に察知する能力も、若手社員より優れています。
サポート役のオジサンがいてくれれば、若手社員にも安心して色々な経験を積ませることができるようになるのです。
終わりに
私の身近には、色々な事情で出世コースから外れたオジサンがいます。役職は私より上ですが、実質的には私の部下のような立ち位置になっています。しかし、このオジサンは「ジオジオさんの〇〇に関する見識はスゴイ!」とリスペクトしてくれてますし、もちろん私もオジサンの経験値をリスペクトしています。
そうすることで、互いに協力して仕事を進めています。今は特に「就職氷河期世代」がいないので、若手社員の育成が難しいのです。私がイチイチ付きっきりになる訳にもいきませんからね。そこでオジサンにサポート役になってもらったところ、非常にうまい具合に仕事がまわりました。
私が一緒だと、若手社員は頼り切って「他人任せ」な感覚になってしまうんですね。でもオジサンが「初めてだから、俺、分からないからね!」と言いながら一緒に仕事をすると、若手社員は主体性を持つようになります。でも若いだけに「穴」も多々あるのですが、そこをオジサンがカバーしてくれるのです。
初めての仕事で分からないけど「何とかしてくれる」のです。
確かにマネジメント能力に乏しくて、少し心配な面もあります。
でもオジサンが積み重ねた経験や知識は、まだまだ頼りになるのです。
「働かないオジサン」と後ろ指を指す前に、是非、プレイヤーに返り咲いてもらい、若手のサポート役として、もう1度活躍してもらいましょう!
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