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働き方改革がいよいよ本気モードか? 「ブラック発注通報制度」とは?

ブラック労働が問題視されてきている昨今では、ヤフーが週休3日制の導入を検討するなど多様な働き方を推進する動きも出て来ています。その様な取り組みは非常に素晴らしいことですが、例えば社員を3日休ませるために、その分の仕事を下請け企業に無理強いするようになってしまっては意味はありません。

業務の効率化や組織改革によって週休3日が実現するような施策が期待されます。

 

geogeokun.hatenablog.com

 

働き方を変えていこうと言う風潮は、政府が進めている「働き方改革」が大きな役割を担っています。

しかし正直言って、私は政府の「働き方改革」には懐疑的でした。表面上の耳障りの良いことばかり言って実効性が無く、結局のところは経済界に有利な「裁量労働制の拡大」や「脱時間給」のみを進めるのではないか?と疑っていました。

今でも半信半疑ですが、以下のニュースで紹介されているような「ブラック発注」に着目した対策を見ると、「働き方改革」は案外本気なのではないだろうか?と思えてきます。

 

www.sankeibiz.jp

 

ブラック労働は単一の企業で自己完結するものではない

ブラック企業」と言っても、その業種によっても様々な種類があります。例えば外食産業の場合は、人手不足をカバーするために社員に長時間労働を強いるパターンが大多数です。これを解決するには人員の確保や営業時間の縮小など、自社内で改善可能なものです。つまり「自己完結型」のブラック企業と言えるでしょう。

一方、自らはブラックになりたいわけではないのに、顧客から無茶な納期の仕事を発注されたり、単価が低いために数をこなす必要が生じたりなど、他者との関係性によってブラックにならざるを得ない企業もあります。この様な場合は、業務の効率化である程度は軽減できるとしても、根本解決にはなりません。

これまでの労働関係の取り締まりは、違法な長時間労働や残業代未払い等の問題について、あくまで「労働者とその企業」の関係に着目したものでした。しかし業種によっては、その企業だけではなく「発注もと企業」に問題がある場合も多く、今回はその点に着目したのが素晴らしいと思います。

また「インターネット上でのサイバーパトロール」も実施するとのことで、「労働者の生の声」を拾っていこうと言う姿勢は非常に評価できるものです。

 

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国や地方自治体の「ブラック発注」の改善が進むか?

ブラック発注通報制度の具体的な中身を以下に引用します。

 

新たに始める通報制度は、まずは情報収集に基づき労基署が中小企業に立ち入り調査を実施。労使の合意なしに月80時間以上の残業をするなど、労働基準法違反にあたる長時間労働を調べる。背景に発注者による「買いたたき」があると判断すれば、中小企業庁公正取引委員会に通報する。

通報を受けた中小企業庁公正取引委員会は、発注した企業に指導を行う。改善されない場合は会社名を公表したり、罰金を科したりするケースもある。

原文まま

 

以上を読む限り「民間対民間」を想定しているようですが、「ブラック発注」は実は「お役所」のお家芸だったりします。国や地方自治体が仕事量に対して無理な工期設定で公共事業を発注したり、「予算が無いから」と必要な項目を発注内容から削っているにも関わらず、その成果を求めたり。

特に大規模な公共事業の場合は、元受け企業の下に沢山の下請け企業が関係していますから、その関係者のほぼ100%がブラック労働を強いられるハメになります。冒頭で「ヤフーの週休3日制への取り組み」について言及しましたが、建設産業が未だに週休2日制にもなれないのは、そのような公的機関の「ブラック発注」が原因の1つです。

政府主導で厚労省が本気で動き出しているのですから、国交省農林水産省などの「公的発注機関」も自らの発注内容について見直しをかけなければなりません。

 

 

いずれにせよ、これまで着目されていた「労働者ー企業」の関係だけではなく「企業ー企業」の関係性に着目した対策を実行するあたり、「働き方改革」の本気度が伺えます。この調子で、どんどん「働き方改革」が推進されることに期待します。

 

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