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仕事とか科学とか

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定時で帰る人が怠け者呼ばわりされる会社とは?

マイナビニュースが会員495人に行ったアンケートによれば、「周りにいつも定時で帰る人はいますか?」の問いに「はい」と答えた人は、わずか19.2%である。

 

news.mynavi.jp

 

定時で帰る人は二極化?

この記事を読むと、定時で帰る人は「二極化」しているようだ。

やるべき仕事をキッチリ終えて帰る人と、仕事が「少ない」もしくは「断る」ので帰れる人。また「干されている」ので仕事がまわって来ず、早く帰れる人と言う人もいるらしい。

これらの事例に対し「管理職は何をしているんだ?」と思えてならない。

同じ組織の中で、定時に帰る人とそうでない人がいるとして、それがいつも同じ人なのであれば、管理職の怠慢と言える。

仕事をキッチリ終えて帰る人がいるのであれば、その人の仕事ぶりを組織内に浸透させれば良いし、逆に「仕事が少ない人」や「干されている人」がいるのを放置しているのは言語道断だ。

やはり職場の通常あるべき姿としては「全員が定時に帰る職場」ではなかろうか?職種によってなかなか実現が難しいとしても、実現へ向けて努力はすべきである。これは生産性向上の観点からも重要になる。

ちなみにアンケート結果によると「職場全体が定時に帰る」と言う理想的な職場は実在するようだ。本来はそうあるべきと思う。羨ましい。

 

  • 「うちはみんな定時…時間内に真剣に仕事して、きっちりと帰る」(32歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
  • 「みんなで協力して定時に帰る」(27歳女性/運輸・倉庫/事務系専門職)
  • 「基本的に定時に帰るのが普通の会社なので、どうも感じません」(26歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
  • 「定時で帰るよう上司からしつこく言われるので、全員仕方なく、仕事が終わっていなくても帰る」(31歳女性/その他/事務系専門職)
  • 「皆定時で帰ります、私なんかは全然仕事が終わりませんが、帰らざるを得ない…笑」(23歳女性/ホテル・旅行・アミューズメント/営業職)

原文まま

 

そもそも定時に終わらない分量の仕事がある場合

以前友人から聞いた話だが、友人の会社では「絶対に定時では終わらない仕事」があるようだ。

詳しい説明は避けるが、その仕事は外で行うもので、2セットが1組の仕事。1セットが2~3時間かかり、また準備や後片付けも含めれば余裕で6時間は超えるそうだ。もちろん外で実施するものなので、そこまでの移動も合わせれば9~10時間の労働時間になる。

現地が遠ければ朝7時半には会社を出て運転し、19時くらいに帰社するそうだ。

そして面白いのが以下のエピソード。

とある社内行事で同年代が集まった時、その場にはいない「社内で有名な怠け者のAさん」の話題になった。その人の武勇伝は色々とあるが、その中でも上記の「定時で終わらない仕事」についての話題で、友人は「ハッとした」のだそう。

 

あるとき、Aさんが「定時で終わらない仕事」を上司から依頼された。

(※時間に関する指示はなし)

Aさんは当日の朝9時(定時)に出社し、準備をして9時半に会社を出た。

11時くらいに現地に到着し、準備をして早めの昼休みをとる。

12時半くらいから仕事をはじめ、15時半に1セット目が終了。

2セット目は実施せず17時に帰社し、上司に「時間がなくて2セット目ができなかったので、明日やります」と報告した。

友人Xの談話より

 

その場でみんな「え~?信じられない!」と口々に非難する中、友人は「イヤちょっと待て。それって実は、普通じゃないのか?」と思ったそうだ。

社内ではその仕事に対して「定時を過ぎてでも1日で2セット実施する」のが常識と考えられている。その場のメンバーは、友人の指摘に一定の理解を示しつつも「でも会社の利益を考えると2日かけるのは微妙だよね」との意見が多数だったようだ。

 

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定時意識は習慣で根付くもの

上の事例のように、その仕事そのものが「定時では終わらない性質のもの 」であるなら、やはり経営・管理サイドで何らかの方策を講じる必要があるのではないか。

日本人は元来勤勉で「仕事があるなら残業してでも終わらせて当然」と言う価値観が根付いており、友人の会社も「残業が当たり前」の社風だそうだ。その様な社風であるがゆえ、その仕事が「1日で終わらせて当然」と暗黙の了解でルール化されたのだろう。

 

上記のアンケート結果では、いつも定時で帰る人は5人に1人しかいない。

私の職場でも定時に帰る人間は一部しかおらず、みな当然のように残業している。それが会社の利益に貢献しているかと言えば、決してそんなことはない。むしろ定時以降も会社に残ることを前提としているためか、普段からダラダラ仕事をしているように見える。実際に無駄話やタバコ休憩が長かったりする。

その日に終えるべき仕事を終わらせて定時に帰るなら、途中で世間話をしようが休憩しようが構わない。しかし定時で帰らないことを前提にしてダラダラと仕事をするのであれば、それは本末転倒としか言えないのではないか。普段その様に仕事をしている人間は、いざ繁忙期になっても仕事をやり抜く力量が足りない。

そのような働きぶりが日本中に蔓延しているとすれば、労働生産性が先進国の中でも低いと言うのは十分納得できる。

以前の記事でも紹介したとおり、イタリアでは残業しないのが当たり前でも、日本より労働生産性が高い。「働いた分休むのは当然」と言う価値観が根付いているとのことである。十分に休息をとって心身ともに健康だからこそ、仕事のパフォーマンスが高く、労働生産性が高いのかも知れない。

 

まとめ

以上のように、日本人は定時で帰らないのが一般的のようだ。

友人の会社の事例では、私も「Aさんは正しいのではないか」と考えている。少なくとも定時の時間内では仕事をしているのだから、Aさんは決して「怠け者」とは言えないのではないだろうか?

残業しない人間を「怠け者」と呼ぶような社風は改めた方が良い。でなければイタリア人の大半が怠け者になってしまうし、そのような国に生産性で負けている日本人は「勤勉な愚か者」になってしまう。

イタリアだけでなく、ドイツや他の欧米諸国でも日本より生産性の高い国はある。

もちろん、その国特有の事情にも左右されているかも知れないが、そろそろ日本人は、彼らと自分たちの違いについて本気で検証すべきではなかろうか?

私も微力ながら、このブログを通して「労働生産性の違いが何によるものなのか」について検証していきたいと思う。

 

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