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小池百合子都知事の「残業禁止」は長時間労働の本質を理解していない愚策だ!!!!!

また出た!!!

やはり日本の上層部は長時間労働の本質を理解していないと言える。日本全国の「雇用者」と言う名の愚か者よ!私は何度でも言う!!

 

本来、残業と言うものは「使う側が命令して初めて成立するもの」だと言うこと。

労働者が率先して好んで実施しているものではないのだ。

だからそもそも、「禁止」と言うのが間違っている。

 

●目次

 

小池百合子都知事が発した「20時以降の残業禁止宣言」について

まったくもって、労働者を愚弄しているとしか思えないスッカラカンの「宣言」だと言える。

 

www.huffingtonpost.jp

 

たとえば、糖尿病患者に「ケーキ禁止」とか、アルコール依存症患者に「ワイン禁止」とか、未成年に「喫煙禁止」とか、そういう類ものものと一緒にしないで欲しい

「禁止」とは、その主体者が自ら行うものに対して発する言葉ではないのか?

「ノー残業デー」だの「社内ネットワーク強制切断」だのは、そういったものを理解していない愚策だ。それと同じことを、小池百合子都知事が、また行おうとしていることに、日本国民はもっと批判的な目で見なければならないと私は思う。

本来は使用者側から命令して初めて実施される「残業」に対して「禁止すれば労働者が実施しなくなる」と思っているのが、そもそも傲慢な考えだ。

 

長時間労働少子高齢化労働生産性の低下を招く「日本国停滞の諸悪の根源」であることは間違いない。そして、その長時間労働を是正しようと言う方針そのものは評価できる。

しかしその方策を実行する上では「長時間労働が発生する要因」を適正に理解することが望まれるのだが、何故か日本の「指導者層」には理解者が皆無に等しい。

 

「残業禁止」が何故「愚策」なのか

では長時間労働が発生する要因とは何なのか?と考える前に、もう1回状況を整理しよう。

なぜ私が「残業禁止」に怒りを爆発させるのか?

それは「残業をしようとする主体」を勘違いしているに他ならない。

上記のように、ある行為を「禁止する」と言うのが効力を発揮するのは、その行為の主体が「自ら」実施しているのが条件になる。よって未成年に喫煙を「禁止」するのは正しい。

では逆に皆さんに聞きたい。もし仮に以下の命令が下されたらどう思うか?

 

子供に対して「受動喫煙」を禁止する

 

「んなバカな?」と思うのが正常な人間だろう。子供に対して「喫煙を禁止」するのであれば筋は通るが、「受動喫煙」は本人に決定権はない。子供が受動喫煙するかしないかは、周囲の大人の責任にかかっている。

つまり、そういうことなのだ。

本来、労働者が残業するかしないかは、労働者に決定権は無い労働者に残業させるかさせないかは、常に「雇用者側に決定権」があるのだ。

そのような社会システムなのに、労働者側に一方的に禁止したところで、効力を発揮しないと言うのは当然である。しかし、その当然を理解できないところが、日本の上層部の「愚か」な所以だと思う。

 

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長時間労働が発生する要因について

では長時間労働(残業)が発生する要因とはどういったものか?

もちろん現実には様々な要素が複雑に絡み合っていると考えられるが、大局的には以下の2点が考えられる。そしてぞれぞれで、経営・管理側に問題がある場合と労働者側に問題がある場合が考えられる。

 

  • 仕事量が多い
  • 業務効率が悪い

 

①仕事量が多い :経営・管理側に問題

これについては、その原因の大半は経営や管理側にある。都庁の場合は都政の方針に基づいて各部署の仕事は決まっているだろうから、単純に仕事量に対して人員が不足していると考えられる。

組織の仕事量と人員のバランスを調整するのが経営・管理側のマネジメントであるから、「残業禁止」にしたところで根本は解決しない

また個人の裁量に合わせた仕事配分もできていない可能性があり、これは管理職のマネジメント能力に左右される。管理職のスキルアップも課題である。

 

②仕事量が多い:労働者側に問題

一部に見られるケースではあると思う。労働者の中には、ある一定量の業務を「抱え込む」体質の人間がいる。周囲が手伝おうにも業務内容が「ブラックボックス」となっている場合が多く、その人間の仕事だけが部署内で「アンタッチャブル」なものになってしまう。

この様な場合は「残業禁止」がきっかけとなって部署内でシェアする雰囲気に変わるかも知れないが、これについても管理職側が本人を上手に導かないとなかなか好転はしないと考えられる。と言うのも、この手の「抱え込む」タイプの人間は、事務所の「強制消灯」により、仕事を家に持ち帰るだろうと予想されるからだ。

やはり「残業禁止」はきっかけの1つになる可能性はあるとしても、根本的な解決にはつながらないだろう。

 

③業務効率が悪い:経営・管理側に問題

この場合は業務を進める中の1つ1つのタスクの中に「無駄なルーチン」がある場合だろう。例えば、全管理職の承認が必要な案件が、ギリギリになってトップにひっくり返されてやり直すハメになるなど、「お役所」では良く聞くパターンである。

部署によっては簡易な案件までトップの決済が必要になっていたりなど、全体の仕事の流れを止める要因が潜んでいる可能性がある。

その様な無駄な作業を洗い直し、スリム化するのも経営・管理側の勤めであろう。「残業禁止」をきっかけにして、管理職を筆頭に業務のスリム化が進む可能性もある。しかし管理職の性質によっては、そのまま放置してしまい、結局は部下が「仕事を持ち帰る」ことになる可能性もある。最悪のケースでは、上司がそのように仕向ける危険性もある

また管理職が残業を美徳とするブラック思想の持ち主で、仕事の量に関わらず「付き合い残業」が横行する部署であれば、強制消灯による効果は大きいかも知れない。

 

④業務効率が悪い:労働者側に問題

労働者側に問題がある場合は、ズバリ「生活残業」のために普段からダラダラ仕事をし、残業しているタイプであろう。そのような労働者の場合は「残業禁止」によって早く帰ることになる。しかしその様なケースは一部に過ぎない

また一方で、本人は一生懸命でも、要領が悪くて効率が悪い場合もあるだろう。この場合はもちろん、「持ち帰る」ことになる。やはり管理職が適切に指導する必要があり、単純な「残業禁止」のみでは効果は表れないと考えられる。

 

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「残業禁止」が20時以降と言うのが中途半端

もう1つ気になる点は、大々的に宣言した割には中途半端なことだ。

都庁職員の勤務時間は以下の通り。

 

A班:午前8時30分から午後5時15分まで
B班:午前9時00分から午後5時45分まで
C班:午前9時30分から午後6時15分まで
※上記のほか、時差勤務あり

東京都人事委員会公式ホームページより*1

 

つまり20時退庁が徹底されても、最長で3時間近く残業することになる。仮に毎日2.5時間残業するとして、月50時間に達する立派な36協定違反だ(月45時間が限度)。

つまり「残業禁止」と大きくアピールする割には、36協定すら守れない時間設定なのだ。そして同時に、もともとの都職員の労働条件が、「余裕で36協定違反者が続出するようなブラック体質であった」ことが露呈したと言える。

 

とは言え、話題になったことは評価する

上述のように、小池百合子都知事の「残業禁止宣言」は実効性に欠ける愚策であり、本当に都職員の働き方を改革したいのならば、他の具体的な施策を実行していく必要がある

とは言え、都知事と言う要職に就いている人間が労働問題に触れることで、全国区の大きな話題にはなる。これによって全国的に「働き方改革」について議論が巻き起こるのであれば、それはそれで評価はできる。ベストでもベターでもないが、「グッド」くらいは言っておこう。

 

まとめ

以上のように、今回の「残業禁止宣言」そのものは愚策であり、効果はほとんどないだろう。だが都知事本人の口からは、「残業禁止宣言だけで終了」と言う言葉は無い。

まずは大きく花火を打ち上げておいて、国民の視線が集中したところで、具体的な「二の矢、三の矢」が飛ぶことに期待したい。

いずれにせよ、「残業禁止宣言」そのものは、「ノー残業デー」のように、長時間労働問題を根本的に解決できるような施策では決してない

 

 

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