SHIINBLOG

仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

幼稚園・保育園のブラックは深刻だ!と言うお話

「やっぱり、そうですよね。」と言うニュースです。大手保育園が労働基準監督署から労働基準法違反の是正勧告を受けたそうです。

 

bylines.news.yahoo.co.jp

 

幼稚園・保育園ってもともとブラックが普通かも?

大手保育園 で労働基準法違反が横行している可能性があると言っていますが、ある意味「当然」かなぁと感じました。何故なら、幼稚園や保育園は、私が知る範囲ではもともと「普通にブラック」ですからね。

親戚や知り合いに幼稚園の先生や保育士がいて、その仕事内容を聞く限り、労働基準法を守っている事例は少ないと言う印象です。下のグラフを見ても、その様な印象を裏付けるデータが出ています。

保育士の職場環境の悩みについてのアンケート結果では、「残業が多い、休みが取れないなど、とにかく忙しい」が50%、次いで「保育園・保育施設責任者の方針がころころ変わる」が27.8%となっています。保育園や幼稚園は個人経営の場合も多く、経営者が素人的な経営を行っているケースも多そうです。

 

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(※マイナビ保育士*1のデータをもとにジオジオが作成)

 

また幼稚園教諭や保育士の特徴として「持ち帰り残業」があげられます。下のグラフを見ると、「1~3時間以内」が50%以上を占めています。残業の内容は下に示すように、「保育記録」や「行事に必要な小道具づくり」など、どれも保育教育として重要なものです。本来、保育士や幼稚園教諭個人に押し付け、家でサービス残業を強いるようなものではありません。

知人の幼稚園教諭や保育士の話を聞きますと、このような持ち帰り残業は「園児のことを思うと手を抜けない」から実施するそうです。中には割り切ってる先生もいるようですが、真面目に園児を思う責任感の強い先生ほど辛い思いをしているのが実態です。

 

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(※保育のお仕事*2のデータをもとにジオジオが作成

 

          ー日ごろ持ち帰って行っている業務ー

●年間計画・月案などの指導計画
●個人の保育経過記録
●園・クラスだより
●行事に必要な衣装・小道具などの制作
●教室内の装飾物・壁面制作など
●誕生日カードやイベントのお誘いカードなどの制作
●手づくりおもちゃ
●卒園時に渡すアルバム作り  

「保育のお仕事」より

 

上記のように、せっかく子供が好きでも仕事が辛くて辞めたり、家庭との両立が難しいので結婚を機に辞める人も多いようです。また知人のつてで「仕事が辛い」と聞けば、保育士や幼稚園教諭を目指すのをやめてしまう人もいるでしょう。

現在、日本が「保育士不足」なのは、業界全体が普通にブラックだからだと言えそうです。

 

個人の責任感に甘えた経営実態

幼稚園教諭や保育士は、幼いころから憧れて目指す人が多いと思います。子供と触れ合うのが好きだからと言う人も沢山いるでしょう。でも経営側は、ある意味そう言う気持ちに付け込むように、ブラック労働を強います。

冒頭に引用した記事でも、この様に書かれています。

 

保育園では、園児を相手にする仕事であり、休憩が取れない、サービス残業など違法であることが分かっていても、「仕方がない」「子供のために誰かやらねば」と改善をあきらめてしまう労働者が多いのが実情だ。

原文まま

 

そう。もともと子供が好きだからと、幼稚園教諭や保育士になった人が多いので、経営側への怒りを抑え、まず「子供のこと」を第一に考えてしまうのです。そこに甘える経営者が沢山いるんですね。しかし現状のブラック労働を放置すれば、幼稚園の先生や保育士さん達の健康が損なわれるだけでなく、事故の発生により子供にも被害が及びます※実際最近、生後数か月の赤ちゃんの死亡事故がありました)。

今回は大手保育園が労働基準法を違反していると言う実態が明るみになったことで、まだまだ他に波及していきそうです。幼稚園の先生や保育士さんは「子供のため」と我慢せず、労働環境の改善へ向けて「介護・保育ユニオン」へ相談することが大切です。

労働環境が良くなり、結婚してからも従事する人が増えれば、人手不足も解消されますし、若い人も安心して働けるようになります。我慢せず、「労働環境改善」へ向けて立ち上がりましょう!

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まとめ

幼稚園の先生や保育士さんは、日本の将来を担う子供たちに多大な影響を与えるとともに、子育て世代が共働きで安定した収入を得るためにも、非常に重要な役割を担っています。幼稚園や保育園は個人経営も多く、少人数で運営していると、先生個人に責任が集中する傾向が強いように感じます。また少人数だからこそ、誰にも相談できずに無理を続け、いつか我慢の限界に達し、辞めていってしまうのです。

まずは幼稚園の先生や保育士さん1人1人が現状改善のために行動を起こすことが大切です。それによって、今回のように「労働基準監督署からの是正勧告」がなされれば、ニュースにもなりますし、経営サイドも改善せざるを得ない状況になります。

また一方で、個人で経営している幼稚園や保育園に対する、経営サポートも必要になって来るのではないかと思います。

国や自治体には、単に幼稚園・保育園を増やすだけでなく、労働環境の改善や経営実態の把握・改善等、きめ細やかな対応を強く望みます。

 

 

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