教員の過重労働が問題になっています。過重労働の原因として様々なものが考えられますが、主なものでは部活動の顧問や人手不足があげられます。
しかし以下の記事では、少子化に伴って、教師の4万9千人もの人員削減が可能だとされています。
教職員は本当に削減可能なのか?
記事によれば、今年の児童・生徒数は960万人であり、今後10年で840万人まで減少すると見込まれています。つまり児童・生徒数の120万人減から単純に試算すると、教師4万9千人が削減可能になってしまうとのことです。
中学校教員の人数については、以前に文科省のデータを確認したところ、下図のように約25万人で一定数が確保されているのが分かります。ところが年齢構成に着目してみると、直近のデータ(平成25年)では50歳以上のベテラン世代が半数以上を占め、若手~中堅世代の人数が少ないことが分かります。
これに基づき、私は教員の過重労働問題の原因の1つとして「若手不足」の可能性があるのではないかと考えました。(※詳細は過去記事*1を参照)
しかしこの記事に寄せられたコメント(matcho226さん)によれば、教員の人数の内訳は臨時教員も入っており、正規教員の数が減少しているとのことです。正規教員の人数が絞られ、人手不足なので臨時教員でカバーするものの、部活動の顧問やその他行事関連の準備等までは任せる訳にいかない。したがって、その負担は結局のところ、正規教員に集中することになるようです。ところが最近では、その臨時教員の人数も減少傾向にあるとのことで、危機感をお持ちのようでした。
どうも財務省の試算は、現場の実情を考慮していないもののようです。
※中学校生徒数と教員1人あたりの生徒数:文部科学省,文部科学統計要覧(平成27年度版)のデータからジオジオが作成
※中学校教員の年齢構成推移:文部科学省,文部科学統計要覧(平成27年度版)のデータからジオジオが作成
文科省の見解について
上記の財務省の試算に対し、文科省側は逆に教員の増員を訴えています。それに対して財務省は様々なアプローチの検討を提案しているようです(以下引用参照)。
これに対し、文部科学省は、いじめなどへの対応のためにはむしろ教職員の数を増やす必要があるとしていますが、財務省は、まず、スクールカウンセラーなど外部の専門家を活用してその効果を確かめた上で、教職員の数を考えるべきとしていて、両者の攻防は来年度予算案の編成の焦点となりそうです。
原文まま
教員の負担を軽減するために、授業以外の仕事を教員以外の人員にシェアするのは、確かに良い方法かも知れません。現状の教員の仕事内容を種目ごとに分けて可視化し、教員以外の人員でも可能なものはどんどんシェアしていくのも効果的ではないかと思います。
しかし上述の年齢構成からも分かるように、今後、新任の教員採用人数を絞ってしまうと益々若手の人材が不足する事態になってしまいます。したがって単なる人数のみの調整ではなく、年齢構成を視野に入れて対応して頂きたいものです。
まとめ
少子高齢化に伴って、児童・生徒の人数は確実に減少します。しかし単純に現状の人数構成(教職員:児童・生徒)をもとに試算したのであれば、4万9千人の削減は過大になるのではないでしょうか?なぜなら、現状で教員の負担が大きく、ブラック労働を強いられているからです。
現在の「教員不足」の実情を明らかにした上で、教員以外の人間が対応可能な仕事を中心にサポート体制を構築していく必要があると思います。
まずは現状の教員のブラック労働を改善すること。これが第一です。少子高齢化による人員削減は、現状の教員の労働体制を整備した上で検討すべきことかと思います。
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