私は年功序列が大嫌いです。
なぜ生まれた年や入社が少しくらい早いからと言って、彼らに従わなければならないのか?非常に不満を持っています。
良く「年長者は時間をかけて経験を積んでいるから、若手よりも仕事ができる」と言う意見を聞きます。これが年功序列を擁護する人たちの常套句です。
しかし私は、その様な意見そのものが「ピントが狂っている」と思っています。
何故なら、私が年功序列を問題視している理由は「仕事ができるかできないか」や「経験を積んでいるかいないか」ではないからです。
会社では、ある一定以上の役職からは「管理職」として部下のマネジメントに従事することになります。仕事を部下に割り振るにあたり、「組織の収益性」、「業務の効率性」、「部下の教育・スキルアップ」等を考え、バランスよく配分する必要があります。
そしてこの様な「マネージャーとしてのスキルとは何か?」について、仮に現在の日本社会で既に定着していて、それが企業で働き続けることによって自然と身について行くものなのだとすれば、年功序列で問題はないかも知れません。
しかし、そうではないから「問題」なのです。
現在問題になっている「長時間労働」は、労働生産性を低下させているだけでなく、日本社会の停滞や閉塞感を産む諸悪の根源です。しかし50才前後以上の世代では、まだまだ長時間労働を美徳とする人間が大半を占めています。
とにかく会社に残り、残業することが大切
こういった考え方はマネジメントのカケラもない発想です。有限な時間を効率よく使っていこうと言うのがマネジメントの本質だからです。
現代の日本社会は、これまでの「年功序列」によって甘やかされた人間が、マネジメントの本質を理解することなく、そのまま「管理職の座」に居座っていることが問題なのです。
年功序列の擁護論である
「年長者は時間をかけて経験を積んでいるから、若手よりも仕事ができる」
が通用するのは、1つ1つの仕事のスキルや経験だけです。
管理職になってから必要となるのは
- 仕事の進め方・配分の計画立案能力
- 人を見て、上手に仕事を采配する能力
- 部下の計画的な育成手法を考える能力
- 部下に信頼される人間性
などです。
現在の年功序列システムは、これを全く無視して運用されていることに問題があります。一定の年齢に達したからと無条件に昇進させたせいで、どこかの時点で「人間性が貧困で自己保身のみを考える人間」が要職に就けば、その人間は自分と似たような人間を要職に就けるでしょう。
自分より優秀な若手(かなり年下の)はおだててこき使いますが、少し年下の優秀な後輩は遠ざけるようになります。
年功序列に甘やかされた人間が連綿と続く限り、日本にマネジメントのイノベーションは生まれません。
管理職に昇進させるべき人間は、「年功によって仕事を覚えた人間」ではなく、「マネジメントに長けた豊かな人間性の持ち主」なのです。
年功序列システムでは、その様な人選はできません。日本の生産性が低い原因は、まさにここにあります。
だから私は年功序列が大嫌いです。
一刻も早く、この様な愚かな制度は撤廃し、真に豊かな日本をつくりましょう。