阿蘇山が噴火したというニュースを見て、正直かなりドキッとしました。なにせ阿蘇山と言えば巨大なカルデラ火山であり、日本で2番目の規模を誇ります。かつて大噴火を起こした時には、火砕流が九州の約半分を覆いました*1。しかも熊本地震によって活動が活発化するかも知れないという話もあります。
地震の規模には上限があると言われる一方で、火山活動の規模に上限はないと言われています。地震で人類が滅びることは無いけど、火山で滅びる可能性は十分にあるそうです。脅かすわけではありませんが、阿蘇山が大噴火を起こせば、九州はもちろん、日本全域が相当ヤバいことになります。
このニュースを読んでみて、ホッとしました。もちろん、火山灰の被害にあった方々は気の毒です。しかし、この程度で済んで良かったですし、以下の引用に示す専門家のコメントでさらにホッとしました。
須藤靖明・阿蘇火山博物館学術顧問(火山物理学)は「この程度の噴火は阿蘇山の歴史では過去にたくさんある。少なくとも1カ月くらいは警戒が必要だ」と話している。
宇井忠英・北海道大学名誉教授(元日本火山学会会長)も「この規模の噴火は阿蘇山ではたびたび起こっている。噴煙が1万1千メートルまで上がったことで、東は兵庫県まで降灰の予想が出ているが、関西に来るとしてもごく微量なもので、交通や生活に影響が出るものではない」と話している。
原文まま
※阿蘇山:今回ではなく過去の噴火です
むしろ本来の阿蘇山の活動に戻った?
今回の噴火は噴煙が高く上がったことで多くの人々を驚かせましたが、噴出物の量はそれほどでもなかったそうです。
この記事によれば、「むしろ地震に邪魔をされていた火山活動が、通常通りに戻った」と考えられるとのことです。
熊本地震を誘因とする阿蘇火山の活発化が懸念されていた
今回の噴火と地震との関係については不明だと言われています。
しかし実は、マグニチュード7.3の震源断層が阿蘇カルデラ内に入っていることが明らかとなった時、専門家は阿蘇火山の活発化を想定していました。地震が原因で火山が活発化するとすれば、主に以下の4つの要因が考えられます。
1.断層活動によるマグマ溜まりの圧力上昇
おそらく一般の方々はイメージしやすいでしょう。断層がマグマ溜まりを圧迫するような動きをすれば、圧力が高まり、噴火しやすくなります。
2.断層活動によるマグマ溜まりの圧力低下
1とは真逆の要因ですが、爆発的な火山噴火の原因としては、これが一般的です。
マグマの中には水や二酸化炭素が溶けていて、マグマの圧力が低下すると、水や二酸化炭素がガス化してマグマがブクブクと発泡します。マグマが発泡すると密度が低くなるので、上昇力が生み出されて噴火に至るのです。
ちなみに1が原因でマグマが地表に上昇すると、最終的にマグマの圧力が低下するので、水や二酸化炭素のガス化で噴火することになります。
3.地下水や温泉水の流れが変わり、マグマに接触する
実際に熊本地震の影響によって地下水の流れが変わった事例が散見されています。流れが変わって地下水がマグマに接触することになれば、水が一気に水蒸気になることで急激に体積が膨張し、爆発します。会津磐梯山が山体崩壊を起こした噴火は、まさにこれが原因です。
まだまだ警戒が必要
気象庁は警戒レベルを3に引き上げ、まだ「同じ規模の噴火が起こり得る」として警戒を呼び掛けています。地震との関連性は不明ですが、大きな地震とその後に続く余震によって阿蘇山周辺の地下構造が変化しているのは確実です。
これまでと変化した地下条件が阿蘇山の火山活動に及ぼす影響について、専門家が注意深くデータを収集・分析していることでしょう。
阿蘇山は活火山である限り、これからも噴火の危険性は続きます。周囲に住む方々や観光客のみなさんは、国や自治体、専門家の注意に耳を傾け、自分の身を守るよう留意して頂ければと思います。
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