SHIINBLOG

仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

日本の労働生産性は低いらしい

「日本の労働生産性は低い」

このことを認識している人は、どの程度いるのだろうか?

私はネットの記事等で知ったことなので、それが真実かどうか?と問われれば「分からない」としか言えないが、自分が所属している職場の状況を見るにつけ「その通りだろうな」と、経験的に実感している。

 

労働生産性について、日本と良く比較されるのはドイツ。ドイツも日本と同様に第二次世界大戦の敗戦国であるが、戦後70年の間に、随分と大きく差を付けられた感がある。

 

www.huffingtonpost.jp

 

日本は労働時間が多いのに・・・

 1人あたりの労働時間を考えた場合、ドイツの方が日本よりも少ないのに、生み出している利益は多い。

 経済協力開発機構OECD)の2013年の調査では、1時間当たりの国内総生産GDP)は、ドイツで62.2ドルに対し、日本では41.1ドル。ドイツより30%以上も低い。もちろん、国によって色々と状況は異なるので、一概に比較はできないだろう。しかし「労働時間」を見ると明らかに差があるのは事実だ。

 OECDによると、2012年の年間平均労働時間は、ドイツで1人あたり約1400時間に対し、日本は1700時間を超える。ドイツ人の方が約20%も低い。

 

 日本の経済産業省の2013年度版通商白書では、2009年時点のアメリカの労働生産性を100%とすると、ドイツは85.9%、日本が57.2%と大きく差がついている。

 ドイツの方が労働時間が短いのに、生み出している利益が多いのだ。

 

 これを見ると、日本は何とも「損をしている」と感じるのは私だけだろうか?

 

 

高度成長期の成功体験が邪魔している?

 日本の労働生産性が低い要因に関しては、色々と意見があるようだが、最も多いのは「労働時間が長い」ことがあげられる。

 日本の高度経済成長期には、「遅くまでバリバリと働くことにより外国に差をつけた」という実体験がある。家庭を顧みず会社に滅私奉公的に尽くすことで業績を伸ばし、それが日本全体を経済大国へ押し上げた。これは一部では当たっているが、すべてではないと私は思う。日本の高度成長の要因は、ザックリと考えてみて、以下の要因があると考えられる。

 

①以前は現在より円が安く、輸出に有利であった。

 資源を輸入してそれを加工して付加価値を生んで輸出するという、日本の産業構造と相性が良かった。

②冷戦により世界が大きく2分割されており、競争相手が少なかった。

③現在の新興国であるインドやブラジル等が発展途上にあり、競争相手が少なかった。

④近隣国の戦争(朝鮮戦争等)により、物資の輸出が多かった。

⑤工場の「ライン生産」手法の開発により他国より生産効率が高かった。

⑥ホワイトカラーがより多く働くことにより他国より生産力が高かった。

 

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これはあくまで、私がこれまで様々なメディアで見聞きした中で思いつくものであり、実際にはさらに多くの要因があったと思われる。しかし概ねはこんなところだろうと思う。

以上の中で、①~④の条件は既にない。

また⑤については他国は既に日本からノウハウを吸収したため、単純に「人件費の安い国」のアドバンテージが大きくなってしまった。

 

そうなると⑥しか残っていないのであるが、これはどうだろうか?

これについては、私は残念ながら「既に効果は全くない」と思っている。そもそも、多く仕事をすることで得られるアドバンテージなんて限られている。だって人類1人1人に与えられている時間は等しく、1日24時間しかない。つまり上限が限られているのであり、他の①~⑤の条件が無くなった以上、いくら長時間働いたところで、たかが知れているのである。

つまり、せっかく⑤のように、工場では「ライン生産」という効率化を実現できたのに、ホワイトカラーに至っては「頑張って長時間働く」といったような、精神論に留まってしまった。すなわち「ホワイトカラーの仕事の効率化を怠った」のが、現在の日本の生産効率の悪さの原因ではなかろうかと思う。

 

もはや「遅くまで残業する」のは何の得もない。

ましてや現在では残業代すら払えず、社員に「タダ働き」を強いている企業が「当たり前のように乱立する事態」になっている。まぁ、立派な犯罪なんですけどね。

 

もはや残業を美徳とするような考えは古く、今後、日本を再興させるにあたっても、如何に残念な概念であるかという事がわかる。

 

これについては、今後、さらに検証を進めて行きたいと考えています。