素数ゼミの謎 ~壮大な進化の1つの物語~
こんにちは。ジオジオです。
すっかり暑くなってきました。そろそろ蝉の鳴き声も聞こえてきましたね。
さて、今回は「素数ゼミの謎」を紹介します。
題名を見ると、素数ゼミ?ん?数学の授業のこと?とか思ってしまいそうですが
昆虫の蝉のことなのです。
〇目次
素数ゼミって何?
素数ゼミとは、アメリカに生息する13年周期、17周期で大量発生するセミのこと。
ある決まった地域で大量発生し、その地域のセミはまた17年後に大量発生しますが、次の年は別の地域で大量発生する・・・といったことが繰り広げられているそうです。
ある意味、アメリカの夏の風物詩ですね。
日本のセミは種類によって6~9年で成虫になって地上に出て繁殖しますが、決まった年に大量発生したりはしません。
例えば、昨年の夏はミンミンゼミ、アブラゼミ(ジージー鳴く)、ヒグラシ(カナカナカナ・・・)、ツクツクボウシなどの声を聞きましたが、今年だって同じように聞くでしょう。つまり、日本では「年によって大量発生」はないし、「地域限定」もないですよね(※気候の違いで南北日本で分布は異なりますが)。
それにしても、何故このようなセミがいるのでしょう?
何故、特定地域に限定して大量発生するのか?
しかも、その周期が13年、17年なのは何故なのか??
その謎に対して有力な学説を発表したのが、日本の生物学者・吉村仁さんです。
素数ゼミがなぜ生まれたのかが分かりやすく、進化の面白さを実感できる良書です。興味のある方は、是非、読んでみて下さい。
ただし本書にはセミの写真が掲載されていたりするので、虫が苦手な人はやめた方が良いかも知れません。
この本の特徴
この本の特徴は、何といっても「絵本のようにイラストが豊富」なことです。
いやもう、ほぼ絵本です。
書いている内容は多少は難しい部分もありますが、子供に買ってあげるのは良いかも知れません。小学校高学年であれば、かろうじて読めるレベルだと思います。
ただその時は「お父さん(お母さん)、素数って何?」と質問されて固まらないように、気を付けてください(笑)
それと大人であっても、もともと文系だけど科学に興味がある。でも難しいのはちょっとなぁ~と言う人にもお勧めです。
ただし、もともと理系の大人には少し物足りないかもしれません。私なんかは、ものの1時間で読破してしまいました(笑)
少しだけ、内容を紹介
この素数ゼミが生まれた最大の原因は、氷河期によると、本書では言っています。
「氷河期」と言う大事件が、生物に対して「プレッシャー」として働きかけ、進化を後押しする原動力になったのでしょう。
それまではアメリカのセミも日本のセミと同様に、6~9年で成虫になって地上で繁殖していたと考えられます。年度による大量発生も無かったと考えられています。
しかし氷河期の到来により、住める地域が限定されたことが大きなキッカケとなります。日本の場合は海に囲まれていたので、北から氷河がやってくることはありませんでした(北海道の一部には氷河が来ていたという学説はあります)。
しかしアメリカの場合は、北極圏からカナダを経由して地続きでしたから、ほぼ全域が氷河に覆われ、そこのセミは絶滅してしまった。
でも気象条件や地形条件などにより、局所的に氷河に覆われない「特別区域」が生まれ、そこだけに限定的にセミが生き残ることができた。
生き残ることができる場所が限定されたことにより、繁殖条件が限定されてしまった。まぁ人間で言えば、私のように「男性中心の職場」であるがために出会いのチャンスが少なくて・・・に似てますね(笑)
結果として、アメリカのセミは、成虫になる年を統一して「集団お見合い」をすることで、子孫を残すことができたのです。
最後に、「進化」について
進化は、あくまで「結果論」なんですね。
どうしても人間の脳では、因果関係を考えるクセがついているのか、「原因があるから結果がある」の思考に基づいて考えてしまいます。
ですので、本書も部分的に、読者のミスリードを誘ってしまう文章があります。(故意ではありません)
私もそうですが、上記ように
成虫になる年を統一して「集団お見合い」をすることで、子孫を残すことができたのです
と書きましたが、何もセミは、好んで集団お見合いをするようになった訳ではないのですね。生物の進化はあくまでランダムで、環境に適合したものだけが、結果として生き残る(子孫を残す)と言う事なのです。
進化については、このブログで、また追々話していければと思います。
まず今回は、「素数ゼミの謎」について、興味を持って頂ければ幸いです。
よろしければ、こちらもお読みください