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良く聞く「〇〇〇年前」ってどうやって分かるの? 知っておくと面白い「地質年代測定法」 part1

先日は東北や北海道の地震の周期についてお話ししました。

geogeokun.hatenablog.comこのときに、津波堆積物が400年周期だと説明しました。

地質学的な話になると、いつも〇〇〇年前とかいう文言が出てきますよね。阿蘇山が大噴火を起こしたのは9万年前だとか、恐竜が絶滅したのは6500万年前だとか・・・。 

みなさんは、その「〇〇〇年前」ってどうやって分かるかご存知ですか?

 

地質年代と年代測定

地質学を語る上で地質年代は欠かせません。他の学問と違い、地質学の場合は信じられない様な大きなタイムスケールを持っているからです。

一見、同じような地層であっても、それが形成された時代(年代)が違っていれば、持つ意味もおのずと変わってきます。

地質学が発展するに従い、地層の形成時代に関心が注がれるようになり、年代の判別手法が開発されてきました。歴代の地質学者たちは、ありとあらゆる情報や手段を使って、地質年代を解き明かして来たのです。

地質年代には大きく分けて「相対年代」「絶対年代」の2つがあります。

おいおい!イキナリ専門的になったぞ!と怒らないでくださいね(笑)

以下に簡単に説明します。

①相対年代

例えば、「地層Aよりも地層Bの方が古い」と言った風に、その地層が何年前かは分からなくても、複数の地層を比べて、どっちが古いか新しいか?という考えで組み立てられた地質年代のことです。

②絶対年代

そのものズバリの年代を示した地質年代。色々な分析手法によって「〇〇〇年前」を直接的に突き止めたものです。

 

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はじめは相対年代だった

地質学の研究が進むにつれ、地質学者たちは、ある不思議な事実に気付きます。

ある地層では沢山の巻貝の化石が見つかるのに、別の地層では、違う形の貝しか見つかりません。なぜ?と・・・。環境が違うからか、時代が違うからか?地質学者たちは地道に研究を続けます。そして以下のヒントを組み合わせて謎を解き明かしました。

①地層塁重の法則(ちそうるいじゅうのほうそく)

地層は下から上に重なって行きます。昨日降った雪の上に今日の雪が積もるように、地層も一般的には下の地層の方が上の地層より古いのです。これを「地層塁重の法則」と言います。

※激しい地殻変動で上下逆になっている地層も、たまにはあります。

②鍵層(かぎそう)

例えば火山灰の地層など、色や模様が特徴的なので、離れた場所にあっても「同じ地層」だと区別できるものを「鍵層」と言います。

以上の2つのヒントを繋ぎ合わせれば、離れた場所の時代を判定することができるのです。

例えば北海道の地層Aには巻貝化石があり、その上(新しい)地層Bには二枚貝化石があるとします。同じように千葉県の地層Cに巻貝化石、上の地層Dに二枚貝化石。

どちらも似たような地層で似たような化石が出ます。でも、遠く離れているので、本当に同じ時代の地層かは分かりません。そこで「鍵層」を探します。

探した結果、北海道の地層Aと地層Bの間に火山灰層が見つかり、千葉県の地層Cと地層Dの間にも火山灰層が見つかりました。

2つの火山灰を分析したところ、同じ時代の阿蘇山の噴火によって積もった火山灰だと言う事が分かりました(例えばの話です)。

そこで初めて、北海道の地層Aと千葉県の地層Cが同じ時代、そしてそれより新しい地層である北海道の地層Bと千葉県の地層Dも同じ時代で、巻貝と二枚貝はそれぞれの時代の代表的な生き物だという事が分かります。

そして仮に「巻貝時代」二枚貝時代」と名付けたとします。どちらも具体的に何年前かは分かりませんが、違う時代であり、前者の方が古いことは分かっています。

ここまで分かると、今度は福島県で同じ二枚貝の化石が見つかれば、その地層は二枚貝時代」の地層だと分かります。これが「相対年代」になります。

 

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世界中の地層と化石を比べてみたら?

地質学者って凄いですよね。上の事例の様な地道な研究を、世界中のあらゆる地層で調べたのです。

みなさんは「ジュラ」って言葉は知ってますよね?

映画ジュラシックパークジュラ紀と言う、恐竜が生きていた時代のうちの1つです。フランスとスイスをまたがる「ジュラ山脈」の地層が、この時代を代表する地層なので名づけられました。

地質年代は、その時代の代表的な生物がいるかいないか?で判定され、分かり易い事例で言うと、以下のようなものになります。

古生代(約5億4000万年前~約2億5000万年前)

三葉虫の時代。三葉虫とは、ダンゴ虫みたいな、エビみたいな海の生物です。

中生代(約2億5000万年前~約6500万年前)

恐竜とアンモナイトの時代

新生代(約6500万年前~現代)

哺乳類と鳥類の時代

他にも細かく分けられていますが、それはまたの機会にでも紹介します。

 

つづく・・・

以上が「相対年代」についての説明でした。結構長くなってしまったので、「絶対年代測定法」については、part2にてお話ししたいと思います。

 

 

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