常総市役所の残業問題に潜む、日本人の「ブラックな労働観」 続編 part2~前向きに対応策を考えてみる~
先日、常総市役所の残業問題の続編として以下の記事を書きました。
もと記事はこちら
日本人のブラックなメンタリティーを嘆いていても仕方がありません。こうしている間にも、熊本の公務員の方々が辛い思いをしているかも知れません。
そこで、今後この様なことにならないためにはどうしたら良いか?私なりの方策を考えてみました。
対策その1 ~災害対応マニュアルの作成~
いや、既にありますから!と言われてしまえばそれまでなのですが
大概、お役所のマニュアルと言うものは分かりにくいものです。
ただでさえ バッタバタで忙しいときに、いちいち読んでいられないでしょう。
ですので、最低限で良いので以下のものの御用意をお勧めします。
①災害対応のフローチャートを作成
災害対応の大まかな流れをフローチャートとして分かり易くまとめ、大きなポスターサイズで作成し、目立つ場所に貼っておく。
変な言い方かもしれませんが、我々日本人は災害慣れしています。東北の各自治体の経験を生かして作成できると思います。
②仕事を種別に分類し、さらに階層分けし、表にする
ひと口に「災害対応」と言っても様々だと思います。ベテラン職員ではないとできない仕事、新人職員でも対応可能なもの・・など、種別の仕事をさらに「レベルに応じて階層分け」しておきましょう。
そうすることで、各職員が「自分が今やるべきこと」が明確にイメージできるハズ。何となくモヤモヤした頭で動き回るよりは、明確な未来のイメージがある方が、人間は前向きに頑張ることができます。また他の自治体から応援に来た職員の道しるべにもなるでしょう。そして後述する「別の対応策」にも生きてきます。
フローチャートを見ながら、「今実施すべき仕事」を確認し、さらに仕事別の階層分け表を見て、「自分が今実施すべき仕事」を確認します。
こういう事って、案外とやっていそうでやっていないものなのです。
もし「とっくにやってるよ!」と言う事であれば、申し訳ありません。
対策その2 ~被災者を「臨時職員」として採用~
これは、以下の記事から得た着想です。
「被災し働けない市民も多い中、市職員はもらい過ぎ」(72歳男性)原文まま
そう!被災者の中には様々な理由で働けない人がいます。子供を除いた大人たちのうち、健康で災害による怪我等がなければ、是非、自治体職員の方々のお手伝いをして頂きたいものです。自治体職員だって自ら被災しながらも働いているのです。被災者だって働けない訳ではありません。もちろん、 自治体職員と同レベルで仕事はできませんから、例えば「週に2日」とか「一日おき」とか「午前中のみ」でも良いのです。
そしてこの時に、上の仕事別の階層分け表が役に立ちます。臨時職員でも実施できる仕事だけ、手伝って貰えば良いのです。それに例えば「被災者の悩みを引き出す」など、同じ被災者だからこそ出来る仕事もあると思います。
事前に希望者を募っておき、有事に「災害時臨時職員希望者名簿」から人員をピックアップし、協力を要請すると言う仕組みをつくってみてはいかがでしょうか?
ボランティアがどの程度集まるかは予測できませんし、強制もできません。であれば、被災者自身が立ち上がっても良いのではないでしょうか?
実施できる仕事に限りはあるかも知れませんが、自治体職員の負担を少しでも軽減できれば良いではないですか。また実際に従事してみて、職員の大変さを理解できるかも知れません。
対策その3 ~災害時のための資金準備~
代休で保障するという対応は、その前に過重労働が発生してしまったということを表しています。
したがって、やはり他自治体からの応援や臨時職員の採用等によって、人員を増員するのが一番確実な方法かと思います。しかしそうなると「人件費の増大」は避けられず、自治体の財政を圧迫します。
そこで例えば「共済金」のようなものを集めるシステムをつくってみてはいかがでしょうか?日本は災害が多いとはいえ、日本全国が一斉に災害に見舞われることはありません(あるかも知れませんが、その時は国が滅ぶのでしょう・・・)。
毎年、日本のどこかで災害が起こるなら、次は自分の番かも知れません。例えば、まずは自治体の予算の一部、地場企業、個人等から集めた共済金を1箇所に集め、災害時の職員の給与にあてる。
全国の自治体が500(各都道府県で約10あると仮定)あるとしても、単一の自治体あたり30万円を出せば、1億5000万円となり、常総市の1ヶ月分の残業代を賄えそうです。
問題は、その機関が天下り組織になってしまったり、不正が発生してしまう事でしょうか?ただ始める前からそんなこと言ってもしょうがないですね。
民間団体でも良いので、この様なシステムがつくられると良いと思います。
おわりに・・・
災害は人命や財産を奪いますし、できれば起こってほしくはありません。しかし日本は地震、津波、火山だけでなく、地質と気象の条件を考慮しても、災害の多い国です。
起こってしまった災害に悲しむだけではなく、これを経験として糧にし、次に備えることは重要です。災害に対応する自治体職員が過重労働を強いられてしまうことは分かっているのです。これまでの経験を生かし、それを防ぐ方策を構築することは決して不可能ではないと思います。
あわせてこちらもどうぞ
もし、なるほど!と思って頂けたら、読者ボタンを押して貰えると嬉しいです(^^)