吉田沙保里選手批判に見る日本人のブラックなメンタリティー
マスコミの方々が何故この様な記事を書くのか理解不可能ですが、やはり「金銭を得る事」を良しとしない日本人のブラックなメンタリティーが裏にあるのではないかと感じます。
常総市役所の残業代を「貰い過ぎ」と言うお年寄りと同じですね。
稼ぐことって悪いんですか?
個別取材に対して「3万円頂戴します」と言うことに対して「荒稼ぎ体質」と言うのはいかがなものなのでしょうね?
だって吉田沙保里選手ってメチャクチャ偉大な人物じゃないですか!オリンピック3連覇ですよ?!女子レスリング界をリードするレジェンドです!プロ野球界なら「長嶋茂雄氏」や「王貞治氏」、「松井秀喜氏」、「イチロー選手」、女子サッカー界であれば「澤穂希さん」に匹敵する超大物です。その人柄も親しまれ、老若男女様々な人たちから愛されている人です。
その様な偉大な方が、3万円で個別取材に応じてくれるなら、逆に安くないですか?
私なんかはそう思うのですが、記事はこんな調子で続きます。
「ALSOKからは、数千万円の年収を貰っていたはずですが、当然、他社のCMの仕事は引き 受けられませんし、テレビ番組やイベントなどへの出演にも制約があった。吉田とすれば、リオ五輪の前で、タレント活動をするのに最も価値の高いうちに、そ の幅を広げておこうと独立したのではないでしょうか」 原文まま
イヤ、よろしいのではないんでしょうか?
彼女がALSOKと契約したのは、その当時で両者ともに「フィフティー-フィフティー 」だったと言うことでしょう。
もちろん、背景になる様々な事情は知りませんが、一般的に考えれば、以下のように考えるのが当然かと思います。
〇当時のALSOKにしてみれば「良いイメージでの『強い』を体現する人物として、自社のイメージアップにつながると判断」し、吉田沙保里選手と契約しようとした。
〇吉田沙保里選手にとってみても「ALSOKが考える彼女のイメージが本人の意向とマッチしており、また女子レスリング界にとって良い方向になり、金額面でも妥当」と判断できたので契約した。
〇様々なCMやメディアに露出することで、ALSOKの意にそぐわないイメージがついてしまう恐れもあるので、ALSOKは専属契約したかった。それに対し、当時の吉田沙保里選手にとっても良い条件だった。
まさに、需要と供給のバランスが取れたからこその関係だったのでしょう。
一方で、吉田沙保里選手がさらなる実績を積み上げ、世間の彼女に対して感じる価値が、さらに上昇していった。それによって様々なCMのオファーが「以前より多く、また金額も高騰」してきた。それだけ、世間の彼女に対する価値が高まったと言えます。
そして『「ALSOKが吉田沙保里選手を起用して得られる利益」を、「彼女を独占することで発生するコスト」が上回った』ので契約関係が解消されたと言うことなのでしょう。単純に。
そう、世間の吉田沙保里選手に対する価値が高まったのです。だから単独取材でも金銭を要求しなくては、辻褄が合わなくなったのです。
つまり、スポーツ記者からの依頼以外で、彼女に「お金を出すから来てくれ」と言うオファーが増えたと言うことです。
吉田沙保里選手はオリンピック4連覇を目指しています。そのために、あらゆるトレーニングをするでしょう。その時間が、まず何より貴重ですし、それ以外の限られた時間は「お金を払うので来てほしい」と言うオファーに応えなければならない。
となれば、彼女にとって「無償の単独取材」は優先順位が低くなるのは当然です。
それだけ、彼女の価値は高まったのです。
価値の高い人が、それにふさわしい金銭を要求して、何が悪いのでしょうか?
ちなみにスポーツ選手としての取材を拒否している的な考えは不当です。だって「囲み取材はOK」なのですから。これでスポーツ選手としての最低限の義務は果たしています。個別取材は「それ以上」なので、これ以上は無料ではできないと判断したのでしょう。それに対して他人が口を挟むことではありません。
逆に、世間が「その価値は無い」と判断すれば、困るのは本人ですし、吉田沙保里選手もそのことは承知の上でしょう。社会人として立派な選択だと思います。
「スポーツ記者倫理」というトンデモ用語がでてきたぞ
この記事を読み進むうちに、「スポーツ記者倫理」と言う言葉が出てきました。
「リオ五輪で注目を浴びるのは間違いなしの吉田を、事前にまったく取材しないというわけにはいきません。本音を言えば、3万円を払ってでも話を聞きたいくらいなのですが、それでは、スポーツ記者倫理とも言うべきものを破ることになってしまいます」(同)
「3万円払ってでも話を聞きたい」ならば、払えばいいんじゃねぇの??
って思いますが、何か問題ありますかね?
これって、完全に「市場原理」だと思います。
今まで単独取材でもタダだったのは、選手側にとって以下ようなのメリットがあったからだと考えられます。
・無名な自分を単独取材して記事にしてもらうことで、世間に認知してもらい、応援してもらえる。
・それによってスポンサー契約の話も舞い込むかもしれない。
・競技自体がマイナーな中で、自分が取材されて記事になり、世間に知られて競技そのものの底上げになる可能性がある。
要するに、選手にとっては、タダでもメリットがあったのです。
しかし誰にも真似できないような物凄い偉業を達成した偉大な吉田沙保里選手は、もはやその次元ではなくなっただけなのです。
メディア側も、普通に大人の頭で考えれば分かるはずです。
スポーツ記者として「無名な名選手がいれば、発掘して世に知らしめる」が使命でしょう。
有名な選手であれば、逆に「その選手の単独取材記事があるなら、その雑誌を買おうかな?」と言う人が増え、顧客の拡大につながります。その利益を見越して、有名選手に金銭を支払ってインタビューを申し込むのは当然かと思います。
吉田沙保里選手の単独取材記事を載せることで、3万円が十分ペイできると判断すれば、3万円払って取材を申し込めば良いのです。単純な企業判断ですし、それがビジネスではないでしょうか。
吉田沙保里選手の写真の下に「ビジネスだから・・・」と揶揄するようなコメントを載せていますが、ビジネスを知らないのはそっちの方では?と言いたくなります。
そしてビックリなのが「スポーツ記者倫理」と言う言葉です。
イヤ、一般的に考えても、吉田沙保里選手のような多忙な人に単独取材をするのに、無償でやろうとする方が、倫理としてどうなんだろう?と私は思います。
逆に無名の選手に「記事にしてやるから、金をよこせ」と言うのであれば、倫理に反すると思います。
そもそも本当に「スポーツ記者倫理」というものがあって、それが取材対象への報酬の支払いを禁ずるのであれば、こうやって記事にせず、粛々と守れば良いだけの事。
というか嘘くさくないですか?だって、今や「一般市民へのアンケート」にさえ、何らかの謝礼が行われていますよ。
個人の時間を使うのですから、それに見合った報酬を支払うのは当然かと思います。
私もかなり気になったので、この「スポーツ記者倫理」をググってみました。そうしたら、今回の記事についてのものしか出てこないのですが・・・
個別取材に対して報酬を支払うことが倫理に抵触するというのは、常識的に考えてピンと来ません。
でも逆に考えれば、今まで無名だった媒体や記者にとっては、チャンスです!
「スポーツ記者倫理」があるからと、3万円をケチって個別取材しないそうなのですから、チャンスですよ♪
特にネット系のメディアはチャンスでしょうね。
こうしてるうちに、他のメディアはどんどん吉田沙保里選手にお金を払って単独取材を申し込み、スポーツ記者よりも良い記事を量産することでしょう(笑)
そして「お金を払ってでも吉田沙保里選手に単独取材したい!」と言う団体や個人が増えれば、さらに価値は上昇し、10万円でも取材できなくなるかも知れませんよ?
でもそれが、市場原理と言うものです。当然です。今、こうやってグチグチ文句言う暇があるなら、3万円なんてハシタ金は払って、取材した方が得じゃないですかね?
それだけの価値が、吉田沙保里選手にはあるってことです!
貴重な時間を搾取しようと言う考えは「ブラック企業と同等だ」
「今までタダだったのに、何でだよ~」と、子供がダダこねているようにしか感じられないのですよね。
だいたいマスコミだって、いざどこかの企業がブラックで社員にひどい仕打ちをしたことが発覚すれば、「過労死するまで残業させたくせに、お金を払わないなんて!」と非難しますよね?
でも私から言わせれば「個人の時間をタダでせしめようとしている」と言う意味で考えたら、今回の吉田沙保里選手批判とブラック企業は同質です!!
人間には等しく、労働したら相応の報酬を得る権利があります。時間あたりの最低限の報酬は「最低賃金」として定められ、またそれ以上は個人が生み出す利益で評価されます。
世間一般で普通に考えて、吉田沙保里選手は偉大な人物であり、価値の高い人物です。彼女を拘束するには、それ相応の報酬が必要です。
そして彼女には、その様な選択をする「権利」と「義務」があります。
オリンピック3連覇と言う偉業は、誰にでもできる事ではありません。類まれな才能もあるのでしょうが、たゆまぬ努力が実を結んだ結果です。一般の人間の想像を絶すると思います。それが今、報われているのです。当然の権利です。
また彼女のような偉大な人物が、一切の金銭の受け取りを拒否したりしたら?それこそ、女子レスリング界は、いつまで経っても金銭的に恵まれない劣悪な状況が続きます。スポーツ記者であれば、アマチュアスポーツの過酷な現状を知ってるでしょうに。
成功者としての彼女が、相応の報酬を受け取らなければ、後に続くアスリートが、ずっと不遇を託つことになり、スポーツ界は衰退します。
そうなって日本中に不利益をもたらすのはもちろん、真っ先に損をするのは「スポーツ記者」ではないですか?何せ、メシを食うタネがなくなるのですからね。
まとめ
日本人はまず、「他人の時間をリスペクトする」を心掛けましょう!
そうすれば、この様な「吉田沙保里選手批判」なんて馬鹿げた記事はなくなります。
また記者の方々も「今までタダだったのに~」と子供みたいな事を言う前に、大人の頭で市場原理と言うものを考えてみませんか?
そして目の前の3万円に固執することなく、スポーツ界を衰退させないためにも、吉田沙保里選手のような偉大な選手は、相応の報酬で報いなければならいないと言うことを知りましょう。
と言うか、この記事のせいで「心ある記者」はもしかしたら憤慨しているかも?
私としては、そうであってほしいと願います。
他人の時間をリスペクトしなければ、ブラック・スパイラルは続く一方です!
よろしければ、こちらもお読みください。
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