SHIINBLOG

仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

見せかけの勤勉の正体

先日は「長時間労働を評価する上司」について話しました。

おそらく日本には、このような上司は沢山いるようで、既にそれをテーマにした本があります。結構昔に出版された本ですが、数年前に読んだ当時、目から鱗というか、自分の気持ちを代弁してくれたようで感激したのを覚えています。

 

約1か月前から、思い立ってブログを始め、いずれ書籍紹介をしたいと、過去に読んだ本を振り返って真っ先に思い出したのが、この本です。不本意ながら、

『「見せかけのやる気」の正体』

と、間違って覚えてしまってました。

でも、それがあながち間違いではないくらい、この本には

「やる気」がキーワードとして出てきます。

 

私は、この「やる気」に関する現代日本人の考え方が、労働問題の原因の1つと考えていますが、まさに、それを明確に示している本だと思います。

 

↓興味のある方は、是非とも買って読んで頂きたいです。


 

 

「やる気」を評価することの功罪

この本を読んでいると、現在の日本が、いかに「やる気」を評価する国であることが分かります。

そういえば、数年前に「やる気スイッチ」というキャッチコピーがありましたよね。

でも、この「やる気」があるかないかって、何を見れば分かるのでしょう?

 

それと、そもそも論で言うと

(※私の文章って「そもそも」が多くてスミマセン・・・)

やる気が「あるかないか」って、結果に関係なくないですか?

あくまで「過程」の話ですよね?

「やる気があるかないか」

 あくまで過程の問題なのに、それを評価してしまうことの愚かさを、この本では分かりやすく説明してくれています。

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 まぁでも、こんなコに応援されれば、私も「やる気」出しちゃいますが(笑)

・・・と、冗談はおいといて(笑)

企業は利益を生み出さなければなりません。

つまり、本来は「結果」が重要視されるべき企業において、「やる気」だけが評価されると何が起こるのでしょう?

そして、「やる気」を評価する上司は、何を基準に判断するのか?

 

ここまで読んで、分かってきませんか?

そう、

「やる気=夜遅くまで仕事する」で評価してしまうんですね。

かつての私の上司のように・・・。

そうすると、どうなるか????

社員たちは、一生懸命に仕事をする「フリ」をするために、

ダラダラと仕事を先延ばしにし、ワザと、遅くまで残業するのです。

これって営利団体にとって、最悪だと思いません???

 

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「やる気」を評価することで「やる気」を失わせるパラドックス

考えてみれば、当たり前と言えば、当たり前なのかも知れません。

 

もちろん、人間、やる気があるに越したことはありません。

でも忘れてはならないのが、「やる気」はあくまで「過程」でしかないということ。

過程ばかりを評価してしまうと、評価される側は

「なるべく労力を少なくして評価されることを選んでしまう」ことが分かっています。

どういうことなのでしょう?

これに対しては、非常に分かりやすい説明があります。

 

小学校の運動会の徒競走。

本来は「1等賞」を称えるものですが、最後の1人が残ると

 

「○○さん(君)、ゴールまでもう少し!頑張って下さい!」

 

と言う、アナウンスが入ります。

「あ~、確かに、そんなのあったな」と思い出しますよね?

そうすると、子供達はどうなるのか???

 

ビリの方が応援してもらえる

➡1等になれないなら、ビリから2番目よりもビリの方が、

「楽だし褒められる」

となるそうで、ワザとビリになろうとする児童が続出したのだとか・・・・。

 

実は以前から、人間のこのような「習性」は知られていたようで

だからこそ、「ブービー賞(ビリから2番目)」が生まれたそうですね。

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と、言う事で・・・

確かに人間には「やる気」は必要です。

ですが、それはあくまで成果を上げるまでの「過程」でしかありません。

特に企業では、「やる気」を評価することは目的とは違った方向に行きやすく、「やる気」の評価をするのであれば、その方法について慎重に検討するべきです。

 

くれぐれも、「労働時間の長さ」で判断してはいけません。

そんなアホなことしちゃうと、みんな「3時間で終わることを6時間かけて」ダラダラやっちゃいます。

そうなると結局、生産性が落ちてしまいますよ。

経営者の皆さん、是非、気を付けて下さいね。

 

あ、それと、

「そんな評価なんて関係ない!俺はチャッチャと終わらせるぜ!」

という、社員さんはやる気を失って会社を辞めちゃうかも知れません。