夢と脳の話
先日の星さんの「夢をコントロールできる」という記事を興味深く読ませて頂きました。
明晰夢で夢をコントロール
明晰夢という言葉を聞いたことがあると思います。
夢の中で「これは夢だ」と自覚できる現象の事を言い、夢だと気づくことにより、自分の思い通りの展開にすることができるのだそうです。
私も以前、一回だけですが明晰夢を見たことがあります。
その時は、夢の世界そのものを自由にすることはできませんでしたが、自分自身は自由に行動することができました。
その時の感覚は非常にリアルで、まるで現実のようでした。
もっとも明晰夢に限らず、夢ってかなり鮮明ですよね。記憶の関係で時間とともにボンヤリするだけで、寝起きで「あ、夢だったのか」と思う瞬間の夢の記憶をたどってみると、非常にリアルなのに驚かされます。
考えてみれば、夢がリアルなのは当たり前
そうなのです。考えてみれば、夢が「リアル」なのは当たり前と言えば当たり前なのです。何故かと言うと、我々が普段「現実」として捉えている全ての物事は、脳を介して理解しているものだからです。
熱いものを触って瞬間的に手を引っ込めるような「反射」以外は、基本的に情報が脳に送られ、脳が処理した結果を我々は感じているのです。
分かりやすい例としてあげられるのは「映像」です。
「この目で見た」とか言いますが、実は「目で見たものそのまんま」ではないって知ってましたか??
・人間の目は100万画素
目には視神経がつながっていて、それは目の表面の「光を感じる細胞」につながっています。その細胞は片目に100万個あって、私たちはその情報をもとに「見ている」のです。
デジカメの画像をどんどん拡大していくと、無数の小さい「四角形」がありますよね。
四角形の1つは同じ色ですが、隣り合う四角形は微妙に色が違っていてグラデーションになっていて、「引く」と映像になりますよね。
拡大すると微妙に違う「緑色の集合体」の画像を引くと、「葉っぱだった」という具合です。
ここでもう1回考えてみて下さい。
私たちの目は「100万画素」です。待てよ?100万画素って粗くない?と思いますよね。
・我々の世界は脳で作られている
デジカメで100万画素って言えばザラザラに粗いイメージですが、我々が見ている世界は決してザラザラではありません。
なぜ???
他人の目をよ~く見てみると、微妙にガクガクと小刻みに動いていますよね。
あれ、誰もがそうで、自分もそうなのですが、誰1人として意識的にやっている訳ではありません。そうする必要があるので「反射」のように身体が勝手にやっていることなのです。そしてこれが、「ザラザラでない映像」の秘密です。
眼球の小刻みの動きによって、目が受け取る情報は「その瞬間瞬間」で微妙にズレることになります。
例えば、1つの視神経の「マス」(=1画素)が一辺1cmの四角だとします。
しかし目が小刻みに動くことで「ミリ単位」で少しずつズレた画像が次々と脳に送られ、それらを「脳が合成」すれば、全体的に「滑らかな映像」になりますよね。
つまり、そういう事!
まさに、我々の「この目で見た」は脳が創り出した産物なのです。
そう考えれば「脳によって創りだされている夢」をリアルだと感じるのは当たり前だと分かりますよね。
我々は脳と言う牢獄から抜け出すことができるのか?
「肉体は魂の牢獄である」とは、プラトンの言葉でしたっけ?
しかし現代では「脳は魂の牢獄である」と置き換えられるでしょう。つまり我々人類は「脳の機能の限界」の中にいます。
しかし近年では、脳科学が急激に進歩し、「意識」に関する研究も進み始めています。これから人類が、自らの脳の謎を解き明かすことにより、脳の呪縛から脱することができるのか?非常に楽しみに感じています。