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仕事とか科学とか

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エウロパの水蒸気噴出の意義と化学合成生物群集

NASA木星の衛星エウロパから水と思われる物質の噴出を観測した」と発表したというニュースが話題になりました。

 

horikawad.hatenadiary.com

news.mynavi.jp

 

エウロパに液体の水が存在すると考えられる理由

エウロパ木星の衛星で、ガリレオ・ガリレイによって発見されたので「ガリレオ衛星*1」と呼ばれています。直径は約3200kmで地球の約1/4ですので、まぁまぁ大きいですよね。

エウロパは以前から表面の氷の層の内部には液体の水があるのではないか?と言われていました。エウロパは地球に比べて太陽からの距離が離れているため、太陽エネルギーでは液体の水は存在できません。では何故、液体の水があるかと言うと、「潮汐力」の影響だと言われています。

潮汐力とは簡単に言えば「偏った重力により生じる力」です。月の重力は地球全体に均等に及んでいる訳ではなく、「月に面している部分」が大きな影響を受けます。例えば潮の満ち引き。満潮は、海の水が月の重力に引っ張られることで発生し、月が横側にまわると引っ張られなくなるため、もとに戻って干潮になります。(※ザックリ解説です)

エウロパの場合は木星や他の衛星の重力の影響で潮汐力が及んでいます。 木星等の重力によって引っ張られたり緩んだりすると、表面の氷や内部の岩石層にゆがみが生じて割れ目ができ、割れ目に沿って動くようになります。繰り返し割れ目に沿って上下方向に動くことにより、割れ目沿いに摩擦が生じて、その熱で岩石が溶けてマグマになり火山活動が起こっていると考えられています。その火山活動の熱によって、表面の氷が融けて海が形成されているだろうと予測されていました。

下の写真は1997年に探査機ガリレオによって撮影されたものです。左は自然の色合い。右は模様を際立たせるために人工的に色合いを変えたものです。エウロパ表面はまるでメロンのように、網目状の模様が見られます。これが氷に生じた亀裂だと考えられています。また月等の他の天体と比べてクレーターが目立たず、全体的になめらかです。このことから、ときおり割れ目から水が噴出して地表で再び凍るため、クレーターが消されるのではないか?と推測できます。

 

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エウロパの画像:NASAより

 

液体の水があるとどんな可能性があるのか?

上述のようにエウロパには液体の水の存在が予想されていましたが、実際に確認されてはいませんでした。しかし土星の衛星の「エンケラドス」では探査機によって液体の水の噴出が確認されており、「エウロパも同じに違いない」と期待されていました。

ちなみにNASAが事前に「驚くべき発表」とアピールしたため、いったいどんな発見なんだ?と期待した一般の人の中には「なんだ、水か」とガッカリした人もいるでしょう。

ではなぜ、エウロパに液体の水があると「驚くべき」なのでしょうか?

それは「生命が棲んでいる可能性が高まる」からです。上で解説したように、エウロパにはたらく潮汐力によって火山活動があるだろうと推測されています。実際、他のガリレオ衛星である「イオ」では探査機ガリレオによって火山活動が確認されています(下の写真参照)。大きさや木星との距離など、条件がそう変わらないイオに火山活動があるなら、エウロパにも火山活動があると考えるのが自然です。しかも液体の水があるなら、なおさら可能性は高まります。

液体の水で海が形成されていて、海底では火山活動があるとすれば、それはもう、地球の海底とそっくりな環境なのです。そして地球の海底の火山による「熱水噴出口」周辺では独自の生態系が確認されています。

つまり、エウロパでもこれと同様な生態系が形成されている可能性が考えられるのです。

 

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※イオの火山活動:NASAより

 

化学合成生物群集(熱水生物群集)とは?

1977年、ガラパゴス沖の深海底の熱水噴出口の調査が行われたところ、その周辺に生物の集団が発見されました。これらの生物は「光合成」に依存することのない独自の生態系を形成していることが分かり、世界中の科学者を驚かせました。

 

www.photosynthesis.jp

 

深海底の熱水噴出口周辺では「チューブワーム*2」や「シロウリガイ*3」と言った生物が生息しており、これらは「化学合成細菌」と共生関係にあり、熱水噴出口からの硫黄等を栄養分にして生きているのです。

私たちが主に知っている生物は、植物が光合成によってつくりだした栄養分を摂取して生きています。肉食動物が食べる肉だって、もとをたどれば「光合成」になります。

ですので、硫黄等の物質を栄養分にする化学合成細菌をもとに成り立つ生態系は、光合成をもとにする生態系と異なる独自の生態系と考えられます。

しかし原始の地球環境を考慮すれば、むしろ化学合成細菌の方が、より初期の生命のかたちなのではないか?と考える科学者もいるようです。

また地球もかつては全域が氷河に覆われていた時代があると考えられており、この時に生き残っていた生物は化学合成生物群集がメインだったのではないか?と考えられています。

 

まとめ

以上のように、地球上に実際に存在する化学合成生物群集は、太陽光の届かない深海で、海底火山による熱水噴出からの成分を栄養源としています。

エウロパでも液体の水と火山活動があるのであれば、化学合成生物が存在する可能性が高まります。少なくとも化学合成細菌が存在するだけでも、人類がはじめて確認する地球外生命体と言うことになります。

また残り2つのガリレオ衛星である「ガニメデ」と「カリスト」も、エウロパと同じく氷の地表内部に液体の水がある可能性が考えられています。

エウロパに探査機を飛ばして生命の存在を確認するプロジェクトが進行しているようですし、初めての「地球外生命体」との遭遇は夢ではないかも知れません。

 

 

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