知っておくと面白い「地質年代測定法」 part2 ~放射年代測定~
先日、よく聞く〇〇〇年前はどうやって分かるのか?と言うお話をしました。
この記事では「相対年代」、つまり化石や特徴的な地層を手掛かりにして「地層Aよりも地層Bが古い」と言う風に、地層を比較して時代を突き止めた話をしました。
しかし、この方法では具体的な数値は分かりません。
そこで開発されたのが「放射年代測定法」なのです。
放射年代測定法って、何だ??
世の中の全ての物質は、原子で出来ていますよね。水は水素と酸素で出来ています。
それぞれの元素は、陽子、中性子、電子の数が決まっていると学校で習いましたよね。
そして、この元素、ものによって安定なものや不安定なものがあるのです。皆さんも良く聞く「ウラン」などは不安定な元素の代表格です。
不安定な元素は、時間が経過すると壊れていきます。壊れる時に、エネルギーと放射線を出します。これを利用して人工的に核分裂させて発電させるのが、「原子力発電」です。
原子力発電と言うと、福島の事故もありますし、負のイメージが強いかもしれません。
あのような人体に悪影響のあるものではないにせよ、自然界でも似たような現象はあちこちで起きています。
例えば、カリウム40という元素は、長い年月をかけて壊れていき、カルシウム40とアルゴン40という元素に変わってしまいます。そして、その「壊れていくスピード」と言うのはある程度一定で、これまでの研究によって解明されています。元素が壊れるのは、例えば「1つずつ」とか「10個ずつ」と言う壊れ方はせず、半分ずつ減っていくのだそうで、その半分になるまでの期間を「半減期」と言います。
これまでの研究によって、物質ごとの「半減期」が解明されているので、地層中のある物質の割合を分析し、「どれだけ減っているか」を測定すれば「その地層が形成されてからどのくらい時間が経過しているか」が分かるのです。
いやぁ、本当に科学者と言う人達は、色々と凄い事を考えますよね!
炭素14法(カーボンフォーティーン)
炭素は普通の原子量は12です(6個の陽子と6個の中性子)。ところが、宇宙から地球に降り注ぐ放射線の影響で、わずかではありますが、中性子が2つ多い「炭素14」が存在します。
でもこれは不安定な元素なので、5730年で半分に減ってしまいます。
我々生物は毎日食事して、お米や野菜、肉などにも炭素が含まれますが、そうやって絶えず外界との物質のやりとりがあれば、炭素14は一定の割合で存在します。
しかし例えば湖の岸辺で木が倒れ、湖に沈み、泥に埋もれたとします。そうすると泥によってパックされて外界から遮断されるので、木に含まれる炭素14は減っていく一方です。
遺跡を発掘していると、たまに木のかけらが出てきます。その木は土に埋もれていたので、分析してみて炭素14の量を測れば、何千年前か分かる!と言う事なのです。
例えば、通常の量の半分に減っていれば「5740年前の遺跡だ」と分かるのですね。
ちなみに誤差はプラスマイナス50年くらいだそうです。
私も以前、仕事の関係で「大昔に山が崩れてできた地層」の中から木片を発見したので、分析専門の会社に依頼して年代測定したことがあります。確か、1個で10万円くらいだったでしょうか?その結果、何と縄文時代の木片だったと分かりました。近くには縄文時代の遺跡もありましたし
「古代人が、この山崩れを目撃したかもしれない。そしてその何千年も未来の人間が、そのことを知るなんて、思いもよらなかっただろうな~。」と、感慨深い気持ちになりました。
カリウム・アルゴン法
マグマが冷えて固まった岩石にはカリウムが含まれているので、それを分析する方法です。半分に減るまでの期間は、なんと13億年だそうです!誤差も大きく、信用できないデータが出ることもあるようです。
ですので、上の記事で書いた「相対年代」も組み合わせ、近くの地層と比較するなどして慎重に検討されているようです。
おわりに
いかがでしたか?
地球の歴史は46億年などと言われていますが、これは沢山の地質学者が地層を研究し、色々な分析方法を開発して、解明されているのですね。
放射年代測定法には、他にもフィッショントラック法というものや、最近では「熱ルミネッセンス法」なども開発されています。
沢山の学者さんたちの努力によって、この世の謎は解明されてきているのです。本当、学者さんって偉いしスゴイ!
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