「過労死ライン」と言われる月80時間以上の時間外労働を行った正規雇用従業員がいると回答した企業が、全業種で22.7%であることが分かりました。
「過労死ライン超え2割」について
ここで注意しなければならないのが「全労働者の2割」ではないということです。あくまで「その企業で最も残業した正規従業員が過労死ラインを超えている企業が2割を超えている」と言う意味です。すなわち、1人だけでも過労死ライン超えがいればカウントされます。また逆に従業員全員が過労死ライン超えでも「1」とカウントされてしまいます。その様な大まかな調査にも関わらず2割を超えているのですから、多くの労働者が長時間労働を強いられているだろうと想像できます。
またこの調査では企業に聞いているので、サービス残業はカウントされていません。また公務員や教員もカウントされていないようですので、実際はこのデータより多いと考えた方が良さそうです。
業種別で見ていくと、以下の3業種が特に多いようです。
逆に少ない業種は以下の3業種。
- 鉱業、採石業、砂利採取業:0%
- 医療、福祉:6.5%
- 農林漁業:9.8%
「鉱業、採石業、砂利採取業」や「農林漁業」は屋外作業が中心でデスクワークが少ないだろうと考えられるので、時間外労働が少ないのはしっくり来ます。
しかし「医療、福祉」は医者や看護師、介護福祉士の激務の印象が強い割には非常に少ないので、何かカラクリがあるのかも知れません。
過労死等防止対策白書とは?
ちなみにこの調査結果は、「過労死等防止対策白書」で示されたものです。過労死等防止対策白書とは、2014年に成立・施行された過労死等防止対策推進法に基づいてとりまとめられ、国会に対して毎年報告を行う年次報告書のことです。上記法律が施行されてから初めての白書になります。
私もダウンロードしてチラ見してみましたが、なかなかのボリュームで様々な統計情報が詰め込まれています。追々このブログで中身を紹介させていただきたいと考えております。
ちなみに現在話題になっている電通社員の過労自殺に対して、大学教授が「情けない」と発言したとされているようですが、実はこの白書に対するコメントだったのではないか?とも言われています。真偽のほどは定かではありませんが・・・。
おわりに
以上のように、大まかな調査でも月の時間外労働が80時間を超える社員を抱える企業が2割に達します。これは氷山の一角であり、日本社会で如何に長時間労働が蔓延しているかが分かります。
また私は月60時間以上でも十分多すぎると思いますが、60時間以上となると36%に達します。
日本を長時間労働の無い国にするには、まだまだ問題は山積みの様です。
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