SHIINBLOG

仕事とか科学とか

労働問題や面白い科学の話題について書き綴ります

残業問題を考える:ちょっと待った!その仕事、本当に必要ですか?

以前、残業問題には様々な背景があると書かせて頂きました。

geogeokun.hatenablog.com

この記事では、その背景を大きく以下の4つに分け「上司に問題がある場合」を紹介させて頂きました。

①企業や団体全体に問題がある

②職場(部店所等の単一の組織)の雰囲気

③上司の行動、考え方に問題がある

④本人に問題がある

そして今回は

②職場(組織)の問題

④本人に問題がある

に当てはまることについてお話ししていきたいと思います。

 

仕事を客観的に見つめることの重要性

ホワイトカラーの仕事で一番問題だと思うことは「個人個人で仕事を抱え込んでおり、透明性が無い」ことだと思います。

まだ新入社員で仕事のやり方を先輩から教わっている場合は別として、ある程度一人前になってくると「あの人は今、何の仕事をしているのか?」と感じることが良くあります。大小様々な仕事を抱えており、個人の判断で取捨選択しながら仕事を進めているので、他人から見てすぐに「その人の繁忙状態」を判断することはできません。

そのため個人によって「仕事のやり方」が異なっており、それが正しいとは限らないのが現状です。本人は良かれと思ってやっているその仕事は、本当に必要なのか?

もしかしたらムダな仕事を一生懸命やってしまっているかも知れません。だからこそ、仕事を客観的に見ることは重要なのです。

ちなみに、ここで話している事は必ずしも働く人全てに当てはまる訳ではありません。半日~1日以内にできる仕事を次々と上司から指示されて仕事をする人(新入社員、派遣社員、アルバイト等)は、残念ながら、その上司の能力に左右される立場ですので「上司に問題がある場合」を参照下さい。

geogeokun.hatenablog.com

geogeokun.hatenablog.com

 

仕事を大きく区分けする

仕事には大きく分けて、以下の3つがあると思います。

①直接的に利益を得る仕事

②社内組織運営上、必要となる仕事

③会社・組織を経営するための管理の仕事

このうち③は管理職の仕事なので、ここでは説明を省きます。

 

①直接的に利益を得る仕事

 例えば、機械の部品を製造・販売する会社であれば、「部品を設計して製造して売るまで」がこれに当てはまります。サラリーマンの主たる仕事内容です。

②社内組織運営上、必要となる仕事

 そして上の例で考えた場合、たいていは「設計する人」「製造する人」「売る人」は別の人が担当しますよね。大きい会社だと部署が分かれていてフロアが別だったりします。そうすると互いの意思疎通を図る必要があり、社内用書類を作成する仕事の必要が生じます。

企業や働く側にとって問題なのは、この社内用書類を作成する仕事が多すぎて忙しくなる場合なのです。 

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その仕事、今じゃないとダメなの?

以前、若手社員を指導する時に、口を酸っぱくして何度も言った言葉です。

私が所属している会社では、事務所内のホワイトカラー的な仕事もあれば、外で実施するブルーカラー的な仕事もあります。若手社員は仕事を覚えないといけないので、どちらかと言うと外の仕事がメインになります。

したがって外で何があったか?を上司に報告する必要があるので「進捗報告書」をつくります。もちろん、ベテランでも様々な局面でつくる書類で、作成したら部署内で回覧した後、保管されます。上記②に該当する仕事ですね。

事務所を見回してみると、案外と、この様な社内用書類をつくっている人が多いです。 

とある若手社員も、良く定時以降に黙々と仕事をしているので見てみると、進捗報告書をつくっていました。でも次の日は中で仕事です。「何か仕事はありますか?」と先輩社員に聞いていました。だったら何故、昨日残業していたのだろう?

ある時、私が彼に外の仕事を頼んだことがありました。彼は定時30分前頃に帰社し、また黙々とパソコンに向かって仕事をしています。 

私は「また2~3時間かけて書類をつくるのだろうな」と思い、声をかけました。

そして進捗報告書をつくる意味について以下のように説明しました。

・この書類そのものは利益を生み出すものではなく、仕事の進み具合を上司(会社)に報告するためのもの。

・まずは帰社後すぐに上司に口頭で報告するのが大切(報告されなかった)。

・口頭だけでは勘違いや記憶違い等で後々不都合が起こる場合があるので、その防止のために書面で記録するだけのこと。口頭で報告して問題がなければ、書類作成は多少後回しにしても良い。

もちろん、毎日外出で書類をつくる時間がないなら仕方ないですが、次の日は中で仕事の予定でしたので、その時で十分だと話しました。

逆に朝の出勤直後は頭が仕事に慣れていないので、こういう定型的な仕事をするのに向いている時間ですしね。 

私は①の様な利益に直結する仕事は、納期やお客様の都合もあるので、状況によっては残業する価値がある考えています。

しかし社内用書類作成については、急ぐ案件の決裁が関係するもの以外は、基本的に後回しで問題ないと思います。少なくとも定時以内で片づけておくものです。 

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困った組織風土

以上は個人に関することでしたが、組織全体に悪いクセが蔓延している場合もあります。

例えば、上の例と同じ進捗報告書についてですが、上司の1人は非常に凝りに凝ったものをつくるのです。そこまでするの?と感じてたので、ある時それとなく理由を聞いてみました。すると「みんなにこの案件の中身を理解して欲しいから」とのこと。

う~ん、一理あると言えば一理あるのか?でも私はこの考えに賛成できかねます。

と言うのも、この上司は普段、自分の担当案件の雑用は色々と部下に頼むのですが、案件全体のトータル的な部分は1人で抱え込んでいるのです。だから、いつまで経っても誰も彼の担当案件を理解できないのです。

それに、上司が率先してそんな事するもんだから、部下(私以外)が真似しちゃってるんですよね。たかが社内用書類の作成に、残業して2~3時間費やすのですよ。

それが、この部署の習慣(風土)になってしまっているのです。

正直、そのように凝りに凝った書類が回覧されても、読み込む様な事はしません。だって私だって仕事を多数抱えてますからね。あんなもの真面目に読んでたら30分はかかります。一応は、ザッと目を通して次に回しますが、記憶にはボヤッとしか残りません。 

他の人は真面目に読んでるみたいですが、それでも理解していません(※情報量が多すぎるのです)。

つまり自分の時間を費やし、他人の時間まで費やしている割に、目的が達成されていないのです。

さすがにこのままではダメだと思い、一度、この上司にお願いしてクライアントとの打合せに同行させてもらった事があります。2時間を超える打合せで非常に疲れましたが、書類を見るだけよりも、断然、理解が深まりました。

上司としては社内用書類作成に力を入れることで情報共有を図った訳ですが、残念ながら手間だけがかかるだけで効果は薄かったのです。それよりも一緒に案件に関わる方が、情報共有が深まりました。凝りに凝った進捗報告書が如何にムダか、お分かり頂けたでしょうか? 

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まとめ

以上はほんの一例でしたが、会社には色々な仕事があり、「社内統制を目的とする書類作成」もその1つです。 確かに、それそのものは重要ですが、優先度を考えると低い場合が多いです。

でも日本人とは不思議なもので、ひとたび「仕事(書類作成)」が生み出されると、何故か必要以上に凝りだしたり、急がなくても良いのに残業してまでやってしまいます。そして本来の目的を見失い、形骸化していきます。

今の会社で色々な上司を見てきましたが、1人として仕事の重要度の違いや、今わざわざ残業してまですべきことか?を指導した姿を見たことがありません。

とにかく黙々と仕事を進める前に、一度頭を整理して「この仕事は本当にここまでするものなのか?」と考えてみて下さい。

少しでも、無駄な仕事がなくなると嬉しいです。

 

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